浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.95(7/6)

セレッソ大阪戦、五輪メンバー選考について

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末は敵地・長居スタジアムでのセレッソ大阪戦でした。ドイツに移籍する清武選手のラストマッチということで4万人大入りの中での試合となりました。大観衆の中での試合とはなりましたが、正直な所、それによる威圧感があったかと言えば、それは全く感じませんでした。レッズサポーターも3,000人が駆けつけて、ホームに負けない、それ以上のサポートを実現した実感がありました。ゲーム自体も序盤からレッズがペースを握る試合が出来たかと思います。先制点は素晴らしい形から、鈴木啓太がゴールを決めました。あの形はチームの狙い通りの形のゴールだったのではないでしょうか。その後も決定機を何度か作りますが、ゴールを割れず前半を折り返します。後半に入るとセレッソが前がかりになり、押し込まれる時間が長く続きます。レッズもカウンターで応戦して、追加点を決めるチャンスが何度かありましたが、それを決めきれませんでした。それが最後のロスタイムでの失点に繋がってしまったかと思います。

豊田:先日の当サイト、ライブトークで編集長が河合貴子さんと指摘していた通りの失点パターンが再現されてしまった印象。よく言われるように、サッカーは最後の10分間でケリを「つける」か「つけられる」かで、チームの相対的序列が左右されるスポーツです。「私の力だけでは変えられない部分があり、変わっていきたいのなら変わらなければいけない部分がある」というミシャの試合後の会見談話にも、何やら諦観しているような響きがあって気になりました。ロスタイムでの決着に限って見れば、ミシャ政権発足後もケリをつけられる状況が多いことは数字も証明しています。その対策としてリアリズムに徹したゲーム運びや戦術の選択が多くなっているとしたら、ミシャも相当にレッズの性質に関してジレンマを抱えているということでしょう。彼本来の選手掌握術から考えれば、理想には合致しないスタンスのはずですから。

椛沢:前節の仙台戦もそうでしたが、チームが目指す目標が今季は定かではない分、なんとしても勝たなければいけないという状況にもならないことが、この辺りの曖昧さを生んでいるかもしれません。さて、先日はロンドン五輪のメンバー発表もありました。レッズからは、一人も選考されず。期待された原口、濱田も選ばれることはありませんでした。なでしこジャパンも矢野喬子選手一人の選出となりました。男子については残念な結果となりました。クラブでの活躍が見られなかったことが最終的な決定に繋がってしまったのかもしれませんね。

豊田:現状で五輪代表に選ばれる18人に、レッズの選手には該当者なし。そういう冷たい現実を突きつけられた気分ですね。レッズ支持者のひとりとして謙虚に、そして重く受け止めようと思います。ミスターレッズの福田正博さんもコメントしていましたが……時の日本サッカーを代表する現場に自軍の選手が送り込めないことをサポーターたちが悔しがらないようでは、URAWAというホームタウンとして寂し過ぎるので。

椛沢:国を代表してプレー出来る選手が我町のクラブで育ってくれることを切に望みます。有力視されていた原口元気も前向きにブラジルW杯を目指したいと意気込んだそうですから、今回の悔しさをバネにして、もっと成長をして今回の結果を見返してもらいたいと思います。

豊田:先週の別所少年団・町田隆治監督の談話を受け、某少年団の父兄の方たちとお話しする機会がありました。ご多聞にもれず原口君や直輝君たちの高円宮の優勝を会心の笑顔で称えた仲間なのですが……「ロンドン行きには3、4人は送り込むつもりだったのだけれどね」って(苦笑)。

椛沢:本来であれば、レッズユースの高円宮杯優勝メンバーから、複数人送り込みたい所でしたね。直輝、元気、峻希、水輝、拓也と、彼らはそれだけのポテンシャルがあるはずですから、この経験を糧にさらなるステップアップをしてもらいたいと思います。

豊田:その場の話にも出たのですが、こういう思いを“夢”で片付けない意志があるなら、つまり私たち支持者も本気でブラジルワールドカップを視野に入れたリベンジを目指すなら……これは、レッズとURAWAの絆の多面的な再構築を目ざすホームタウンの「総力戦」になるでしょうね。町田監督も言われていた通り、地元サッカーの指導者との繋がりを再考しなくてはならないし、子どもたちが身を置く教育現場とのジョイントや連携も欠かせない条件になると思います。サッカーを志す少年たちは、サッカーファンの期待に応えるためだけに人生を送っているわけではない。誰もがプロサッカー選手になる以前に、立派な社会人として独り立ちして欲しい。そういう家族や周囲の当たり前の思いに支えられてホームタウンで育まれているわけですから。

椛沢:サッカーの街・浦和が培ってきた歴史を存分に活かす、環境を整備して、URAWAの力を結集させた選手を育成していけるようになれば、素晴らしい選手が登場してくるでしょうね。それはレッズがジュニアチームをただ作ってプロの環境の中で子供たちを育成するというだけでは成し得ないことだと思っています。さて、今週末は鳥栖をホーム埼玉スタジアムに迎えての一戦です。ナビスコカップでは敗戦を喫した相手で、昇格組とは言え、全く侮れない相手であることは誰もが認識しているかと思います。ホームの試合ですから、彼らのフィジカルに負けない、ファイトを見せて闘ってもらいたいと思います。

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