浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.102(8/23)

宿敵・鹿島に勝利。

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:今週はイングランドで豊田さんが訊いたマーク・ラッセルとの対談をお送りしました。ま、一癖も二癖もある内容ですね(笑)。華やかさだけが伝えられているイングランドのフットボールの生の声を聞けて、個人的には非常に興味深い内容でした。

豊田:取材期間の半分以上はボルトンにある彼の家にステイさせてもらっていました。そこから北東部のニューカッスル(セントジェームス・パーク)までを結ぶ線上のスタジアムを、順次巡って行ったのですが、彼ばかりではなく紹介してもらったサポーターやサッカー関係者は“曲者”ぞろいでしたね。ラッセルさんは経営リサーチを担当する専門職なのであけすけに印象や現況を語ってくれましたが、クラブの戦評を担当する分野のジャーナリストだったら職を失ってしまうでしょう(苦笑)。

椛沢:フットボールとビジネスというところでは、Jリーグが21日、都内のJFAハウスで理事会を開き、11年度の全クラブの決算報告を行いました。J1とJ2を合わせた38クラブのうち、営業収入が一番多かったクラブは浦和の53億8200万円。収支が公開された05年度から7年連続で浦和がトップの数字になりましたが、前年度比では2億4000万円以上の減収となりました。入場料収入では浦和が唯一10億円を上回り、19億1800万円となりました。J1の単年度赤字クラブは前年度の10から8に減りましたが、J1の1クラブ当たりの平均営業収入は29億1200万円で、前年度比1億1800万円の減の数字。13年から導入するクラブライセンス制度では、3期連続赤字ならリーグ参加が認められなくなるということで、各クラブの経営努力が求められるようになります。

豊田:動員減少が叫ばれていても、入場料収入では他クラブをダブルスコアで引き離しているのですね。この件で取材させてもらった大住良之さんもおっしゃっていましたが、これからはクラブもサポーターも、それぞれが「どういうクラブであるべきか」を深く問われる時期に入って行くのでは? そのためには私たちもクラブライセンス制度の内容と意義を改めて理解する必要があると考えます。

椛沢:SBSカップでは、U-19日本代表として出場した矢島慎也がU-19ポルトガル代表戦で決勝ゴール、静岡選抜戦でもゴールを決めて活躍を見せてくれました。地元・浦和から育った選手が活躍してくれる姿はホームタウンとしても嬉しいですね。また、ホームタウンの英雄といえば、赤き血のイレブンの浦和南高校出身の永井良和さんが日本サッカー殿堂入りを果たしました。掲額式典は9月10日に東京・文京区の日本サッカーミュージアム内にあるサッカー殿堂で行われます。共に北浦和エリア出身の選手ですね。

豊田:矢島君と永井さんの年齢差は40歳くらいでしょうか……。こういう継続を見ていると、なるほど北浦和エリアはサポーターの面々も自慢するとおりサラブレッドのブリーダー地域といえます。蘇我でお話を伺った折も、永井さんは遥か年下の後輩たちの活躍を喜んで「どんな練習をしてJに備えているのか、一度見てみたい」とくり返し言っていました。

椛沢:先週末は、鹿島アントラーズとの一戦でした。前節、神戸に敗れていただけに連敗は許されない一戦。しかも宿敵・鹿島ということで、埼玉スタジアムはいつも以上の熱気がありました。観客動員数もGWのマリノス戦に続く44131人でした。試合前には激しい雷雨が降りましたが、試合開始の頃には晴れて、蒸し暑いながらも良い環境の中での試合開始となりました。試合は、熱気にも押されてか前半からレッズが果敢に攻撃を仕掛けて、しっかりブロックを作って守る鹿島を押し込む展開となりました。先制点は右サイドの平川のクロスからこぼれたボールを逆サイドの宇賀神がダイレクトで決めるミシャサッカーの形が見えるゴール。追加点も左サイドの宇賀神のパスから、原口が受けて、五輪代表の山村を切り返しで鮮やかにかわしてゴールと気持の良い形でした。

豊田:久しぶりに得意のスタイルに嵌った原口ゴールを堪能しましたが、宇賀神の活躍も気持ちよかったです。一時期の落ち込みを乗り越えてプレーの幅を広げた気がする。先制点のシュートコントロールも素晴らしかったけれど、今回はやはり原口へのダイレクトパスでしょう。ああいう攻撃のリズムが定着すると「選択肢のひとつ」として脅威を与えられると思うのですが……。サイドからの攻めとか、クロスの威力が盛んに課題とされて来ただけに今後に期待したいです。

椛沢:後半に入るとペースが落ちて押し込まれてしまうのは相変わらずの形。鹿島の岩政にセットプレイから1点を返されて苦しい展開が続きましたが、なんとか1点を凌いで今季鹿島から2勝と素晴らしい結果を収めました。後半の戦い方については、もう少し押し込まれ続けるだけではなく、そこからカウンターで相手に脅威をもう少し与えるなどの策が今後は欲しいと感じました。

豊田:上位にいても、なかなか「憎らしさ」が身につかない所はレッズの伝統と思います。今日はもらった……というパターンが確立しない。まあ、そこが判官贔屓のメンタルを持つレッズサポーターにとってはおなじみの魅力でもあるのですが。言いたくないのですが、判定にも恵まれない。現役時代はもっと憎らしいほどクールだった相手のジョルジーニョ監督が激高するシーンが目につきましたが、こちらも気持ちは同じですよ。センターサークル近くでスイッチを入れるミドルパスがレフェリーに当たって敵のカウンターの起点になる。カバーに飛び込んで行った鈴木啓太にはイエローカード……多くの仲間が口をそろえていましたが、あのシーンにはさすがに頭に血が昇る思いがしました。

椛沢:気持ちはすごく分かるのですが、最近はスタジアムの反応も審判のジャッチに対して過敏すぎるところがあると思います。審判を味方につけるような雰囲気作りも強かにしないといけないですし、ゴール裏のサポーターとしては、まずはレッズを後押しするというスタンスを軸に置いて応援をしないと、最近は特にジャッチに対して反応が強いので、それによって応援を消してしまうと、何のためにサポートしているのかという話になってくると思います。試合に負けた後に審判にブーイングする姿勢も私は好きではありません。あまりカッコイイものではない。今週末は、サッカー王国のライバル清水との一戦です。こちらも絶対に勝ちたい相手。アウェイでの試合となりますが、清水を負かして王国浦和のプライドを静岡の地で示したいところです。

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