浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「切ない天皇杯」(12/16)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

天皇杯4回戦に敗れて、今季終了。

浦和の今シーズンの終わりを告げる笛が、夕闇に包まれた熊谷の空に鳴り響いた。浦和を愛するものにとっては、田中達也選手とポポ選手との別れを告げる笛の音でもあった。天皇杯4回戦 横浜FMに0-2と敗戦。その音色は、どこか物悲しく、切なかった。

腰痛治療のために一時帰国したミシャ監督からチームを任された堀コーチは「優勝することが、ミシャさんの腰の良い薬になる。熱い気持ちで闘う。ACL出場を獲得したということで、『天皇杯も行っちゃおう!』と(ミシャ監督が)言っていました。練習を含めて、ピッチでみなさんが見られていることを、明日も確りと出して行く。それだけだと思います」と試合前日に力強く話していた。坪井慶介選手は「ACL出場権を獲得出来た事で、モチベーションが難しいと思うが、ただピッチに立つ以上は闘う!何よりも、達也とポポの事がある。少しでも長く一緒にいたいし、その時間を価値のあるものにしたい」とチームを離れないといけない仲間を思いやり話していた。

柏木陽介選手は「達也さんにパスを出してあげる。いや・・・違うなぁ。達也さんは良い動き出しをするから、良いパスを出したい。前を向いたら動いてくれるし、こっちの蹴れるタイミングで、達也さんが動き出してくれる。横浜FMには、高さでは越えられないから、良い形で前を向けたら良い」と田中選手のゴールを援護する事を誓っていた。肉離れで戦線離脱していた永田充選手は、照準を23日の天皇杯準々決勝に合わせて復帰して来たし、急性虫垂炎で緊急手術した原口元気選手は「痛かった。お腹を12㎝切った。抜糸をしないでも良いので、クリスマスイブイブを目指す」とコンディション作りに励んで良い汗をかいていた。誰もが天皇杯を勝ち進む事を願い、田中選手とポポ選手のゴールが見たかった・・・。ミシャ監督に勝利の報告をして、1月1日までみんなで一緒に闘いたかった。しかし、願いは横浜FMの厚いDFの壁に阻まれてしまった。

一発勝負の天皇杯は、色んな意味で難しい大会である。シーズンを闘い抜いて来た選手の身体は、蓄積された疲労がピークに達している。来シーズンの事を考えたら、しっかりとオフをとって、来年の始動を早く行ない、新しいチーム作りをしたい思いもある。だが、何が何でもタイトルを獲りACLへ行きたい気持ちもある。そして、チームを離れる仲間のために、最後の花道を作り送り出したい気持ちもある。各チームの状況によって、複雑な思いが渦巻いている大会である。

ACL出場権を手に入れた浦和の場合は、やはり坪井選手が話してくれた様に、田中選手とポポ選手への思いが大きかった。私としては、両選手への思いはもちろんであるが、ACL出場権の拘りもあった。ACL出場権はリーグ最終戦で横浜FMが鳥栖に勝利してくれた事で浦和は獲得する事が出来た。それまでの積み重ねた勝ち点もあったが、残念ながら自力で獲得した物ではなかった。天皇杯を優勝する事により、ACL出場の証と両選手への思いを果たしたかった。ミシャ監督もチームが勝ち進む事を信じて、一時帰国していたのだ。だから、こんな終わりかたをしたくなかった。

天皇杯横浜FM戦後、田中選手は「チームのために力になれず、終わってしまって悔しい。自分自身、前に進まないといけない。赤いユニホームを着れて良かった。終わったなぁ・・・って感じだった」と淋しげに話した。ポポ選手は「複雑な気持ちだが、僕としては自分の仕事をしっかりとやり遂げた。後悔はしていません。魅力的なサポーターに良いサポートしてもらった。一生、忘れる事はありません」と誇らしげに話した。柏木選手は「リーグ最終戦に一杯泣いたから、今日は泣く事はなかったが、また達也さんにパスを出す事を夢見ている」と話した。試合後に選手達の話を聞いていると切ない思いが強くなってしまった。しかし、お互い来年に向って進んで行かなければならない。

夜空に浮かぶ消え入りそうな三日月を見ながら熊谷を後にした。勝ち進まなければ、決して願いは叶わない。

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