浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.118 (12/21)

どこかスイッチが入らなかった熊谷で、マリノスに敗れて終戦。

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末に行われた天皇杯4回戦、横浜Fマリノス戦に敗れて浦和レッズの2012シーズンは終了してしまいました。チケット前売り完売の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場での試合は、スタンドの7割が赤く染まりましたが、どこかACL出場権を獲得したレッズサポーターと、あと1枠のアジアの座を射止めたい、横浜のサポーターとの空気感の差があったことは否めません。それはピッチ上も同じで、球際でも勝てず、コレクティブにサッカーをしてくる横浜を崩すことができませんでした。

豊田:「ミシャ不在でもチーム力は落ちない」という選手の意地を感じさせて欲しいゲームだったのですがね・・・こういう局面でもレッズは変わったという論評を書けたらな、と勝手に妄想していたのですが、ある意味予想した通りの結末になってしまった。そしてさらに残念なのは、他の多くのレッズサポーターの間にも「ああ、やっぱり」という試合印象が多いこと。シーズン打ち上げの幾つかの集会に参加させてもらったのですが、「レッズってそういうチームだし、それを分かってて支えて行くのがレッズサポーターの宿命ですよね」という、ある意味悟ったようなコメントまで聞かされた(苦笑)。いままでのプロセスを体験してくると、そろそろこういう自虐ネタに笑えなくなってくるんです。

椛沢:達也と1試合でも多く戦いたいという選手達の気持ちに期待する反面。私自身もリーグ戦終了後に、再度モチベーションを高めるのが正直難しかったので、選手達も同じようなメンタルの部分の難しさはあったのかと思います。スタンドを含めて本気で勝ちたいという雰囲気が薄かったのは確かだと思います。勢いを削ぐマリノスのやり方に、スイッチを入れるタイミングもないままスタンドも試合を終えた印象です。

豊田:レッズの後塵を拝してリーグ戦4位に終ったマリノスは、中村俊輔、中澤佑ニらのベテランは後がない集中度でプレーしていて試合運びにも隙がなかった。あれだけ膠着した状態に押さえ込まれると、静かなゲームに持ち込まれてしまう。スタンドも悔しささえ表現できない状態でタイムアップを迎えてしまいます。熊谷という準ホームの客席で、初めてレッズ戦を観たというひともいるかも知れない。そういう大切な支持者が、このゲームを観て「レッズ戦にまた来たい」と思ったかが心配です。ナクスタでは、大宮アルディージャが川崎相手に3点差をつけられたゲームをひっくり返す、いかにもノックアウト戦らしい熱い天皇杯戦を演じたので、その意味での歯がゆさもひとしお……。かつて岡野雅行さんにガイナーレの本拠地・鳥取でインタビューした際、「サポーターといっしょに戦うクラブ、それが浦和レッズなんです。勝てない理由を監督や戦術のせいにしているかぎり、レッズはレッズに戻れない」という意味のことを、強い調子で話してくれましたよね。この天皇杯・横浜戦のような情況のゲームをどう変えていくか、レッズは岡野選手がピッチ上にいた時代から同じ課題を抱え続けてきたチーム。長きにわたって主力としてレッズを支えてきた田中達也の最後のゲームという意味からも残念な結果でした。

椛沢:そうですね。一方、来季に向けてクラブは既に動いています。予てから噂されていた広島の森脇良太の入団が正式に発表されました。槙野と同じくディフェンダーでありながら、攻撃部分にも力を見せるタイプの選手で、ビルドアップを含めて攻撃力アップが期待されます。反面、彼ら二人がディフェンスラインに入った時のバランスは難しくなるというのが広島側の見方のようです。攻撃面では劣るものの守備での貢献では負けていない、坪井も簡単にはポジションは譲らないと意気込んでいるようですので、ポジション争いは見逃せなさそうです。加えてサイドのポジションでの活躍が期待される関口訓充選手もベガルタ仙台より加入が発表されました。帝京高校から仙台に入団して日本代表にも選ばれたことのあるサイドアタッカーです。ドリブルでの推進力が魅力の選手ですね。攻守で激しい運動量が求められるミシャサッカーにおいては、両サイドが出来る関口選手の加入で層を厚くすることはアジアを考えても必要不可欠でしょう。あとはFWのピースですね。噂になっている選手は所属チーム残留の可能性が高いとの話もあります。インパクトのある外国人選手の獲得を希望します。

豊田:リーグとACLの並走は大きな代償にもつながる厳しさがあることを、私たちは体験的に知っています。入団する選手も当然そういう舞台での挑戦があることを望み、想定しているでしょう。オフの期間もクラブの動向を追う楽しみを満喫したいです。

椛沢:日本開催のCWCではエメルソン所属のコリンチャンスが決勝でチェルシーを1-0で破り、見事、クラブ史上初の世界一になりました。コリンチャンスサポーターのコリンチアーノは今大会で日本に2万人近くが駆けつけて、当日も試合前の新横浜からすごい騒ぎだったようです。財産を売って日本に来たというトルシーダも数多くいたようで、愛するクラブのためには世界のどこまででも後押しをするという情熱、姿勢は負けられない部分です。上記の補強の話ではエメが来てくれたら最高ですね(笑)。

豊田:その時には達也を呼び戻したい(笑)。いま仕事で連日顔を合わせている会計士の方が熱烈なサッカーファン。特定の贔屓チームはないそうですが、まさにその話題を口にしていて「あの田中選手とエメルソン選手こそJの歴史の中でも類のない刺激的な2トップ。ぜひもう一度見てみたい」と力説していました。

椛沢:なるほど。とにかくエメルソンのインパクトは強烈で、ひろくサッカーファンの耳目を集めるストライカーでしたからね。さて、水曜の夜には浦和タウンミーティング005を開催しました。今季を締めくくる会として、浦和レッズから、橋本代表、畑中事業本部長、松本広報部長にお出で頂き、2012シーズンをさまざまな角度から振り返り、今後に向けてのビジョン、考え方についてもお話をお聞きしました。後半は参加者の方とクラブスタッフが実際に交流を図る機会も設けまして、実際に膝をつきあわせて意見が言い合える機会があったのは良かったという声を頂き、通常の時間設定を大きくオーバーして会が盛り上がりました。会の中でも話題にあがりましたが、ホームタウン、サポーター側もサービスを受けるただのお客さんになってしまっては、この文化は創っていけないので、当事者意識を強くもって活動をしていくという意味では、今年から始めた浦和タウンミーティングは双方にとっても良い機会が作れたのかと思います。詳細レポートは年明けに掲載をさせて頂きます。

豊田:クラブ代表の談話を聞くシーズンオフのタウンミーティングは、是非とも恒例化して欲しいです。私は今回の代表への質問においては、とにかく橋本さんが浦和に来てから知ったサッカーの街の素顔とか、サポーターたちに囲まれて初めて分かったURAWAの空気感というものを復唱して欲しいと思っていました。それが「浦和レッズのトップ」に就かなければ解り得ないものであり、橋本さんの後を請ける未来の代表の方々にも是非継承して欲しい重要なポイントであることを伝えたかったからです。代表も来場いただいた皆さんの熱意も感じて誠意的に答えて下さいましたね。多くのサポーターにレッズで4シーズンを過ごした橋本代表の思いがこもった談話を読んで頂きたいと思います。

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