浦和フットボール通信

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URAWA TOWN MEETING 005「2012シーズンを振り返って」 レポート(1)

2012シーズンは、再生、再建の年と位置づけでスタートした浦和レッズは、新たにミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招聘。トップチームは3位となり、ACL出場権を獲得した。「URAWA TOWN MEETING005」では、そのトップチームについてのビジョンなどを聞くと共に、未だ伸び悩む観客動員数などにまつわるクラブ運営面の話から地域、ファン・サポーターとの絆作りについて、橋本代表が考えるクラブとしての継続性についても訊いた。

■ゲスト:橋本光夫代表、畑中隆一(事業本部長)、松本浩明(広報部長)
■司会:椛沢佑一、豊田充穂
■日時:12月19日(水)19時半~22時
■場所:酒蔵力 浦和本店

橋本代表
「本日はURAWA TOWN MEETINGにお集まり頂きまして、ありがとうございます。私がこのミーティングの第1回目に参加させていただいた時は3月だったと思いますが、まだシーズンが始まった直後くらいのお話で、クラブとして決めていたことをお話できない状況でもあって、歯切れの悪いお話をさせていただいた印象があります。今回は、出来る限り、細かいお話までさせていただきたいと思います。時期が時期ですので、お許しくださいという場面もあるかと思いますが、ご容赦ください。今シーズン一年間、皆さんには熱い声援を賜りまして心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。」

酒蔵力 今井店長
「皆さんこんばんは。今年もタウンミーティングで始まり、タウンミーティングで終わる力は良いシーズンだったなと思います。タウンミーティングをやって3位になれるのであれば、毎年大歓迎でやらせていただこうと思っております!今日は代表も最後まで他の予定はないということで、お店の営業時間が続くかぎり楽しんでいってください!」

2012シーズンのトップチームについて

椛沢:さて、早速ですが2012シーズンのトップチームを振り返りたいと思います。最終戦で勝利をしてACL出場圏内の3位に入ったわけですが、クラブとしてこの成績をどのように分析をしたか。また、来季、ACL出場もする中で、どのような体制を築いていくのかについてお話をお聞かせください。

橋本代表(以下橋本):昨年はリーグ戦終了直後に総括というものを早い段階でまとめさせていただいて、WEBサイトにもアップさせて頂きました。今シーズンはまだ掲載をさせて頂いておりません。総括と来シーズンの豊富、こう臨むということは年が明けてからシーズン開始までに皆さんに公表できれば良いかと考えております。公式な総括はまだありませんが、結論から言うとチームがリーグ戦で3位になりACLの出場権を獲得してくれたことには私は感謝をしています。またチームを支えてくれたファン・サポーターの皆さんにも同じように感謝をしているのが正直な気持ちです。今シーズンは昨シーズンの成績をふまえた上で、具体的な順位などの目標を定めずに「ワンステップずつ上がっていく」ということを大原のグラウンドで目指すことを監督と意識共有してシーズンに臨みました。途中勝ち点が積み上がらない時期もありましたが、ブレることなく監督を中心にチームが最後まで、まとまって戦ってくれたということに感謝をしています。それが総括の一番目だと思います。クラブサイドに関して見ると体制の見直しや人事異動を開幕前に行い、この部分でもクラブ一丸となりチームとして良い連携がとれたと考えています。クラブ、チームの再生を図るという意味では残念な部分も残りましたが、ひとつのステップは踏み上がれたのではないかと考えます。

椛沢:ミシャ監督が来季も指揮を取るという決定が発表をされています。雰囲気作りにおいても監督が良い影響を与えてくれたと考えますか?

橋本:私自身は試合が終わった翌日のチームのダウン練習の時に大原のグラウンドに足を運びまして、ベンチに座りながらミシャ監督と一時間くらい話をしていました。内容はチームについては監督に一任しているので、雑談的な会話ではありましたが、そのようなコミュニケーションを取ってきました。その際に、その場に通りかかる選手個々にも直に監督が話を掛けている姿も直に見てきましたので、その部分では満足をしていますし、感謝をしています。

椛沢:監督のキャラクター的にもコミュニケーションが取りやすい監督ということでしょうか。

橋本:私に対してもフレンドリーに接してくれますし、強化の面々が選手と直接、接することに対してもなんの不満も持たずに、どうぞ自由にコミュニケーションを取ってくださいと言ってくれますので、非常に助かっているというのが実情です。

椛沢:詳細な分析はクラブから発表されるということで、それを待っていれば良いということですね。

橋本:はい。年明けの発表をお待ちください。

2013シーズンに向けて補強、クラブのビジョンについて

椛沢:ACL出場は、レッズ復活の重要な起爆剤です。ただ日程過密で、チーム現場が壊れる危険もはらんでいるのも事実です。マネジメントサイドとしてこのバランスをどのように解釈しているのでしょうか。すでに補強の部分でも発表されている選手がおりますが、体制づくりについてもお話をお聞かせください。

橋本:今シーズンは監督の継続を早いタイミングで発表をさせて頂きました。これは強化本部と監督との間で、来シーズンに向けたチームの構想について、非常に速いタイミングから話し合いができました。現在まで発表させていただいているのは槙野選手を完全移籍で獲得をしました。仙台から関口選手、広島の森脇選手の3名の移籍獲得発表をさせていただきました。新聞紙上ではこれ以外の選手の名前も挙がっていますが、これで打ち止めということではなくて、そういった選手にアプローチしている経緯もあるということも事実です。相手チームの事情も考慮した上で、両クラブが合意した都合の良いタイミングで発表するというのが基本的な考え方。ゆえにまだ発表はできませんが、そういう手順でアプローチをかけています。監督自身にも一部の選手の獲得に対しては直接選手と話をしてもらっているというケースもあります。昨年は12月に入ってから監督が決まっておらず、アプローチが出来なかったという状況とは大きく変わりました。チームの編成作業は順調に進んでいると考えて頂いて良いと思います。

椛沢:補強については監督とコミュニケーションをした上で行われていると考えてよろしいでしょうか。そのリクエストの中で監督からは、現在の戦力では、足りないという話があるのでしょうか。

橋本:そう考えて頂いて結構です。まだ足りないメンバーがいますから、発表できるメンバーが来てくれれば、監督として来シーズンに納得して臨んでもらえるのではないかとクラブサイドは思っています。

椛沢:噂されているような選手は可能性が高いということですね?

橋本:噂されている日本人の選手が可能性が高いということです(笑)。

椛沢:噂されていない選手で動いている選手もいるということでしょうか?

橋本:難しい部分もありますが、動いている部分はあります。

椛沢:参加者の方からの質問ですが、ミシャ監督の戦術を、クラブとしてどうやって継続させていくつもりか。具体的なビジョンがすでに出来ていればお聞かせ願えますでしょうか。

橋本:ミシャ監督が来て、彼が指導したのは1月20日くらいだったと思います。すぐに宮崎の一次キャンプに臨みました。キャンプ後半に宮崎で湘南ベルマーレとの練習試合があり、これがミシャ監督になって初めての練習試合ということでしたので、私も現地に飛んで観戦しました。第一印象として初の練習試合、それも着任1週間程度というのに前年とゲーム内容が違っていたことを今でも鮮明に覚えています。ボールを後方から繋いで、全員がチャンスの時は前がかりになって攻撃を仕掛けるというプレーが何箇所か見られまして、チームは1週間位の間にこのように変われるものかなと驚いたのを記憶しています。
そういったチーム作りを一年間通じてやってくれたと考えています。来季続投することに決めたのは、このようなサッカーを継続していくというクラブの意思でもありますので、ミシャ監督の下で、今までやってきたことをさらに継続をして上積みを図りたいと思います。なかなか得点が決まらない部分は残されているのは事実です。でも、それらの精度を上げていくために補強などで戦力の上積みを図っている最中。目指すチームに近づいているのではと実感しています。

椛沢:次の質問です。2012シーズンに対する、過去3シーズンとの明確な対比も含めた総括及びクラブが目指すフットボールというものとは何かということで、これについて教えて頂けますでしょうか。

橋本:ミシャ監督と私が初めて話をした時のミシャ監督の言葉で「サッカーのゲームで点が取れるとか最後のゴールが決まる局面を考えたときに、大切なのはFWの選手だけではない」と……。後方から如何にボールを運べるかだということを大切に考えているという話を初対面の時に伺いました。ミシャ監督の広島時代には浦和レッズをどう見ていたかと聞いた時、監督は、浦和レッズは多くのサポーターの皆さんを抱えていて応援を一緒にしてもらって一緒に戦っているクラブだけれども、ネガティブな話も流れてくると言われた。クラブが本来持っている力が、充分に発揮できていないのではないかという話も伺いました。ポジティブに物事を捉え前向きに進んでいけば、浦和レッズは必ず良いクラブ、良いチームになれる。そういう信念をもってやっていこうという話をされたことを覚えています。それがまさに目指すべきクラブの方向性であると考えています。

椛沢:サポーターの中でも不安に思う部分は、ミシャ監督は独自のスタイルにこだわる監督であるという点です。例えば不測の事態でミシャ監督がいなくなった時、クラブとしてどのようなリスク管理を考えているのでしょうか。

橋本:来年コーチ陣に関しても同じ体制のまま望むつもりですし、チームの状況については強化本部長からクラブの部長以上のメンバーで毎週ミーティングを持っています。ミーティングというかしこまった会というよりはフリーディスカッションをして、チームの状況はどうかとか、補強選手についてとか、交渉状況かどうかという情報を出来るだけ共有しようということで、チームが目指すべき方向性についてもどうしていくかというが話に出ますし、チームに関わるメンバーだけではなくチームと離れた所で仕事をしている人間にも同じような考え方が共有できていると考えています。

椛沢:ミシャ監督の指揮をとって頂きながら、クラブとしてこういうサッカーをしていきたいという考えをもてるのが良いと思います。

橋本:そう思います。

地域、ファン・サポーターとの絆作りについて

椛沢:さて、クラブ運営、ホームタウンについて、というテーマについてですが、「今季のレッズ誕生20周年を経過点と捉えて原点に戻り、レッズを築く運営をしていく。地域・ファン・サポーターとの絆を作る」という中で、具体的な施策や成果があったのでしょうか。

橋本:私が着任してから、色々な催し物をしてきました。今年から新たに活動をしてきた中で、代表的なひとつは、このURAWA TOWN MEETINGのようなもので、今までは、皆さんに集まって頂いてレッズサイドから一方的にお話をする場があったと思いますが、双方向なコミュニケーションをとるといった場面が少なかったのではないかなということで、このような場に参加させて頂きました。一度に集まれる人数に制限はありますが、今までとは違った会合をもっていきたいということで地域の皆さんやファン・サポーターの皆さんとのコミュニケーションをよりよくするというツールにできればと考えています。
双方向性のコミュニケーションという意味では2年前からジュニア世代についてレッズは着目をしていまして、小学校の高学年で市の少年団に所属している子供たちを大原に週に何回か集まってもらってトレセン的な活動を2年間続けてきました。これは小学生の世代から優秀な選手をほかに流出させることを防ごうという目的だけではなくて、さいたま市、浦和の中でサッカーに関わっている地域の指導者の皆さんとのコミュニケーションを取れる機会にしていこうということを目的にしたものでして、ホームタウン、地域との結びつきということでは人の結びつきでいうとタウンミーティングと同じような考え方でそういったような活動をしてきたということだと思います。
それ以外にもレッズランドがある桜区の皆さんにご協力を頂いて、桜区区役所のロビーがレッズ色で染まるような装飾をさせて頂いたり、畑中事業本部長を中心として、レッズローズという薔薇を色々な所に植える活動をしたり、出来るだけ地域にレッズが出て行くという活動を心がけてきたつもりです。まだ十分とは言えないと思いますが、そのような考えで今年度は取り組んできました。

椛沢:畑中さんからも補足的な所でお話をお聞かせください。

畑中:代表が話した通り、目に見えない活動をたくさん増やしていこうということで、さいたま市、特に旧浦和を中心に活動をしてきました。今年は商店街を回る活動を増やしてきましたし、そういったところから地域のお祭りなどにも積極的に参加しました。それをきっかけにレッズローズの植栽をして、レッズを身近に感じて頂こうと試みました。
その結果、常盤公園や北越谷の駅前でも商店街の人が自発的に活動をして頂いて、一緒に植栽活動をしたりしてきました。そのような活動は見えない部分ですが、なるべくスタッフが街に出て、その中で我々も地域が何を求めているのかを理解できた年だったと思います。

橋本:従来から活動をしているハートフルクラブの活動に関しては小学校などに訪問、スクールをやってきましたけど、12年で新たに取り組んで来年から本格的な展開をしようという大きなものがあります。それはさいたま市の中学校の授業の中で、埼玉にサッカーが伝わってから100年が経つということで、自分たちが住む街というものはこういう街なんだということをしっかりと考えてもらうということが必要ではないかということで、教育委員会の皆さんや議員の皆さんのご理解を得ながら、実はさいたま市の5つの学校で浦和レッズのスタッフが講師になって授業をするといったことをトライアルとして行ってきました。来年度からは本格的にさいたま市の教育委員会の協力を得て、展開ができることになります。レッズ独自で15分くらいの埼玉サッカーの振り返りのビデオを作って見てもらった後にレッズのスタッフが話をするというものです。私もトライアルの時に参画してもらいましたけど、レッズを地域にアピールするということよりも地域とサッカーの結びつきということを子供たちに理解してもらうことが将来、子供たちが大きくなった時に自分の育ったところはこういった所なんだと誇れるようなことにつながっていければと考えています。そういった活動も今年やってきました。

椛沢:レッズのスタッフが授業の中で、さいたま市について、この街は、サッカーの街としての歴史があるということを伝えていくということでしょうか。

橋本:埼玉サッカー100年の歴史を振り返って理解してもらうことと共に、その街に浦和レッズがあるということの話をさせて頂くという内容です。

観客動員数について

椛沢:なるほど。さらに「スタジアムが盛り上がるためには」というテーマでの会があった中で、今季の観客動員数など、スタジアムでの盛り上がりについての分析と成果についてお話をお聞かせ願いたいと思います。実際な数字は、2008年は平均入場者数が47,609人とクラブ史上最多の数字です。今季は36,634人ということで、震災があった昨年よりは3,000人ほどは増えているということ状況です。

橋本:特に我々が注目していて、試合が終わるごとにチームの主要なメンバーで共有しているのは、リーグ戦の入場者数が年度ごとにどう変化しているか。今シーズンでいうと節ごとにどう変化しているかということに着目してきました。今、お話にあったのは、年間を通じてカップ戦も含めた入場者数ではないかと思います。リーグでいうと2007年には5万人を超えていたと思います。2010年には残念ながら4万人を切りましたけど、39000人代のレベルでした。昨シーズンのリーグ平均は33,910人だったと思います。今年のリーグ平均は36,634人ということで、昨年から8%くらい上積みが図れたというのが数値上の結果です。
Jリーグ全体では10%くらいアップしていますので、浦和レッズとしては10%には到達できなかったというのが数値だと思います。クラブとしては4万人というレベルに速いタイミングで戻りたいということで活動をしてきました。色々な意見があり、ホームの前半戦に天気に恵まれなかったという見方もあります。それも要因の一つではあるけれども、我々としては4万人を目指す中で結局はそこに到達出来なかった。ただし昨年をなんとか越えるレベルにはなったと。節ごとに見えていると言いましたけど、過去の数値をみても開幕の数値が高くてシーズンが深まるにつれてだんだんと落ちてきて、最終戦で右肩上がりになるという傾向がありますけど、今シーズンは前半かなり苦戦をしましたので、今までの数年間ではなかったような傾向で中盤以降に右肩上がりで入場者の数が増えてきたということが示せました。
そういった意味で不十分ではあるけれども、傾向を少し変えることができつつあるのかなと思います。もうひとつ大きく注目しているのが、シーズンチケットを購入している方々がどのくらい入場しているのか、ということです。この数値に関しては残念ながら昨シーズンはリーグ平均で87%くらいの数値であったと思います。13%くらいの人がシーズンチケットを持っていながらスタジアムには来ていないということであったと思いますが、今季は92%まで数値が上がりました。私自身としてはチームの立て直し、クラブの立て直しを図った時に最初の指標で表れるのがシーズンチケットをお持ちの人がスタジアムに足を運んでもらえるかどうかだと思いますので、なんとか上向きに図りたいという所では、第一歩目が図れたくらいの年ということになるのではないかと思います。

椛沢:スタジアムに来ているサポーターも多く感じた部分だと思いますが、入場者数がなかなか増えていかないと感じていた部分があります。

橋本:その部分に関しては運営サイドの話でもスタジアムのイベントなどの展開の部分で一度きた人にもう一度きたいと思わせることが出来ないかということを色々トライしてくれていますし、スタジアム売店の皆さんとクラブと話し合いを従来にまして綿密に話をして、どういった商品が喜ばれるかといったようなことの結果を反映していく努力をしていかなければならないと思っていますので、そういった活動も継続してやっていく必要があるのかなと思います。シーズンチケットの皆さんにはお知らせさせて頂きましたが、南広場でイベント開催をしても早く入場した人は参加できないというご不満の声を頂きましたので、ワンタッチパスを使用しているシーズンチケットホルダーの皆さんは再入場ができるようなシステムに変えるといったことの取り組みも行っていきます。

椛沢:シーズンチケットの枚数もクラブに対する信頼度の表れだと思いますが、今年は減ってしまったということで間違えはないでしょうか。

橋本:2011年に比べて今年のシーズンチケットの保有者は10%近く減ったことは事実です。これも挽回していかなければなりません。保有している方が来てくれるようになるチームのパフォーマンスをピッチ上で表現することも大切なひとつの要因なのではと考えます。

地域との繋がりにおける拠点となる駒場の開催可能性について

椛沢:地域との連携については、どのような方向性と成果があったとお考えですか。

橋本:アカデミーに関して浦和レッズがジュニアチームを持つことになりました。今までも浦和の指導者の皆さんとはトレセン活動を通じて交流を図って来ましたが、チームに対しては各少年団にいる選手を指導者から推薦して頂いて選抜するという方式をとってきていますし、それぞれのタイミングで指導者とコミュニケーションをとるという意味では来年も継続していくつもりです。地域や区の皆さんと連携をとった活動も強化していかないといけないと思っていますし、今年20周年ということで、街の中に掲出しているバナーには、REDS020というロゴを掲出しました。これは商店街のみなさんの協力を頂きましたし、サポーターの皆さんからも直接連絡を頂いて、掲出をしてもらっていることもありますので、こういった所も来シーズンも継続していくつもりですし、色々な活動をやるつもりです。

椛沢:バナーについては、商店街によっては予算がなかったり、会員の高齢化によってバナーを自力では掲出できない所があるということで、その地域のサポーターが手伝って貼ろうという話があり、私も数箇所参加をしまして、具体的には南高通り商店街などでもお手伝いをさせて頂きました。そこで地域の商店の皆さんとの交流を持つことができたり、クラブスタッフともその場で、なにか一緒にやりたいという話が挙がって、実際に、その後、南高通りのフェスティバルにレッズがブースをひとつもって、参画をするようになったということで、バナーが街に掲出されるだけではなく、バナーをきっかけに交流が深まったということが大きなことだと感じた出来事でした。

橋本:私もそう思っています。一緒にやっていく活動が重要ではないかなと思っていまして、南広場での活動やレッズランドでの活動に対してもすべてレッズサイドがアレンジして、来てください、楽しんでくださいというのではなくて、区の皆さんやサポーターの皆さんと企画の段階で参加してもらうということを考えています。

椛沢:地域との繋がりとしては、駒場開催も大きな要因となってくると思いますが、
来季に向けた、駒場開催の可能性についてお話をお聞かせください。

橋本:浦和レッズサイドから外部に対して発信したことのない情報なのですが、20周年を記念するという意味合いもあって、今シーズンは駒場スタジアムのネーミングライツを取得しました。公募によって名前も決めました。HPにも明確に唄っていますけど、多くの方の思い入れがある駒場スタジアムについて、公式戦を含めて活用していくことを考えますと記載させて頂きました。ただし、残念ながら来シーズンの公式戦の中に駒場開催は入っていません。
今年の夏にFIFAのU-20の女子のワールドカップが開催されましたが、開催にあたって照度のチェックをした時に証明の劣化があって、Jリーグが規定する1500ルクス以上という規定を今の時点ではクリアできていないということが判明しまして、Jリーグが開催できるスタジアムの要件を満たしていないということで、当初、我々も埼玉スタジアムと駒場スタジアムを併記した形で、ホームスタジアムとして活用したいとJリーグに提出しましたけど、その事実が判明した時点で急遽、駒場スタジアムの申請を取り下げました。同時に市に対しては一刻も早く改修、改善を図って欲しいと市長を含めてレッズからお願いをしているという状況です。従って、現時点ではJリーグの公式戦の開催は難しい。一方でなでしこリーグ等の開催は可能ですので、その部分では使っていきますし、レッズフェスタ等の開催も可能ですので、そういった部分では可能な限り使用していきたいと思っています。

椛沢:それでは駒場開催は、環境整備次第ということでよろしいでしょうか。

橋本:もし照度が改善されたあかつきには、シーズンの途中でも申請ができるということは確認をとっています。

椛沢:実際に、2012シーズンは天皇杯の試合で駒場開催をしたと思うのですが、試合を見たあとに、浦和の街に戻ると街の盛り上がりを埼玉スタジアムで開催している時以上に感じまして、ここにいる、力の今井店長を含めて多くの方が駒場開催での盛り上がりを感じていました。駒場で試合開催をすることにより、レッズが試合をやっているという存在感が出ることは間違いないと思います。ぜひ将来的に、開催を実現して欲しいと思います。

橋本:そういったご意見は、ネーミングライツを募集して決める時に外部の有識者の方に選考委員に加わってもらいましたけども、外部の有識者の方も駒場で開催することの重要性は十分申し出がありまして、我々もHPであのような表現をしているということですので、そこは十分認識をしているつもりです。

椛沢:試合はできなくてもレッズフェスタや、違う活用で駒場をレッズが使用することでサポーターが集まり機会を作るという 例えば練習試合をするなども考えられますね。

橋本:それも考えております。昨シーズンも練習試合を考えたのですが、改修前はピッチの状態があまりよろしくないということでトップチームの練習会場としては慎重に考えたほうが良いということがあって、現場の意見が出たことも事実ですが、今はピッチの状態は改修をされていますので、今後は考えていきたいと思っています。

椛沢:畑中さんから補足的にお伝えいただけることがあれば、お願いをします。

畑中:第2回のタウンミーティングに参加させて頂いた経緯から「スタジアムが盛り上げるためには」というテーマについて総括をさせてください。今年は入場者数を増やしていこうと考えた中で、レッズがここ数年、地域の指導者のみなさんと一緒にジュニアの世代に力を入れてきたということもあって、対象者はファミリーを中心にして、子供たちを含めたサッカーファミリーに集まってもらおうということでやってきました。ジュニアの世代では、アカデミーのトレセンをスタジアムで開催をすることでトップチームの試合前に練習会をやって、そのあとに子供たちにコーチと一緒にトップチームの試合を見てもらうとか。スタジアムに来れるようなキックオフ時間をアンケートなどで分析をしながら決めたり、家族で観戦できるようにファミリー席を設置したり、ワンダーシートの一部分をテーブルシートにして家族で見に来られるような工夫もしてみました。その結果、ファミリー、子供たちの数が戻ってきたという実感はあります。この人たちがまたスタジアムに来て楽しんでもらうためのイベントなどにも力をいれました。今年は20周年ということで、南広場でレッズの歴史を感じてもらおうということで、サポーターズクラブの20年間の活動を紹介したり、この20年を振り返ることで、たくさんの新しい人に、レッズには苦しい時代も良い時代もあったことを共有して、また次のステージに向かっていきましょうということでやってきました。またクラブのOBに協力してもらって、トークショーも実施しました。新しいファン・サポーター、ファミリーの方たちには若干でもスタジアムの楽しさを感じて頂けたと思います。

あとはタウンミーティングでも話題がでたアクセスの問題や再入場の問題で、何試合か試験的に再入場をやってみたり、アクセスは駒場周辺に戻ってくるための北浦和行きのバス運行をしたり、浦和の街に戻ってくるためにはどうしたらよいかということでやってきました。まだまだ至らぬ点もあるのですが、このタウンミーティングで頂いたアイディアをいくつか実施したものもあります。アクセスの問題はその時にクラブの努力だけではなくて、ファン・サポーターの皆さんと共に、街のためにやっていくということが大事だということを申し上げさせて頂きましたが、現在、美園エリアを開発していきましょうという話や埼玉高速鉄道の延伸についてのプロジェクトもできていまして、そういった所にも浦和レッズが関わらせて頂くことで、みなさんの声を少しでも反映できればと思っています。また、それに参画できるようになったのは皆さんとこのようなタウンミーティングを通して、浦和レッズの考え方などが街に出て行くことになったからだと思っています。ですから、このタウンミーティングも来年以降も続けていきたいと思っています。

最終戦は5万人を越え、素晴らしいスタジアムの雰囲気でした。私はひとつ大事なことを思い出しました。それはスタジアムはピッチにいる選手が主役で、それをサポートするファン・サポーターの皆さんがいて、それをさらにサポートする、その雰囲気作りをするクラブと、この3つの関係性があって、この浦和レッズのスタジアムが作られるんだと。田中達也選手が最後にコメントしましたけど、私は彼をずっと見てきましたが、彼のコメントはいつも冷静で、インタビューでも「誰かがパスを出してくれたから」とか、チームのためというメッセージやコメントが多かったのですが、最後に彼が涙ながらにあのように苦しい時代もあったという話をしたのは、あのような気持ちにさせたファン・サポーターの作ったスタジアムの雰囲気だったと思います。我々が田中達也選手に挨拶させるというのではなくて、彼がスタジアム一周をして、彼がスタジアムから感じた中で、彼が言った言葉がすごく大事なことだったんだなと思いました。あのようなスタジアムが浦和レッズだなと思いましたし、そのためには、選手とサポーターを繋げるクラブの活動など、スタジアムの中でも外でも作っていくことが大切だと改めて感じています。先日のクラブワールドカップ決勝でも素晴らしいスタジアムの雰囲気でしたが、あのようなスタジアムの雰囲気を浦和レッズはできると思いますし、我々はもう一度最終戦のようなスタジアムを常時できるようにやっていきたいと思います。スタジアムを盛り上げていこうという点については、成果があったところを、まだまだできるところを、それ以上にやっていきたいと思います。そのヒントを与えてくれたのは、このタウンミーティングを含めた皆さんからのご意見だったということを付け加えさせていただきます。来シーズンも、サポーターに負けないように自分たちも頑張っていきたいと思います。

椛沢:本当に、最終戦はレッズサポーターをやっていて良かったと思うスタジアムでした。では、ここで第1部を終了させて頂きます。

<第2部に続く>

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