浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.131 (3/19)

鬼門・大分の壁破れず。リーグ中断後は、ライバル韓国の地へ

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末は、久しぶりに大分に乗り込んでの大分トリニータ戦でした。タカネェとのライブディスカッションでも、この大分が鬼門。気を引き締めてやらなければと話をしていたのですが、歴史は繰り返してしまいますね。またもや勝ち点3を奪えず、2-2の引き分けに終わりました。

豊田:私は福田正博さんやミシェル宮沢さんがコーチを勤めるサッカー教室の仕事でしか大分ホーム(大分銀行ドーム)に行ったことがありません。ですが、あのトリニータ・ブルーの客席を見ると、条件反射的にレッズゴール裏の「Great Escape」の歌声を思い出します。今回もキックオフ前に歌われたようですね。あのメロディが定番だった頃からのサポートメンバーはどんな思いで口ずさんでいるのか……。鹿島や日本平と同じく、アウェー戦の苦さをじゅうぶんに思い起こさせる場所と思います。

椛沢:10年ぶりの大分での勝利を目指して、現地に馳せ参じたサポーター達は意気込んでの試合に挑んだと思いますが、あの大分の遠い、遠いスタジアムまで到達しただけで満足してしまうような所があるのかもしれないですね。また試合前には、この試合で点を獲らせようと興梠チャントが歌われました。

豊田:浦議にアップされていた動画画面、アウェーのウルトラたちの準備プロセスがよく分かって面白かった。あれを拡散すればいまのスマホの威力から言ってもサポートソングは一気に認知されるでしょう。「それじゃお手軽すぎる」なんて声も聞こえてきそうだけど、効果的だと思う。興梠選手に笑いかけている山岸選手や阿部選手の表情も、今季のレッズとサポーターの連携を象徴していると思えました。やはりピッチ上に現われる現場のムードは、いやおうなく観客に伝わってしまうものと思うから……。ただ、マイクが拾っている範囲のギドの応援歌メロディがちょっと音痴だったのが残念ですが(苦笑)。

椛沢:実は選手の応援歌はアウェーの地で披露されることが多いんですよね。せっかくアウェーまで来たから楽しみを持って帰ろうということと、少数精鋭の中で、披露した方が広めやすいというのもあるのだと思います。興梠選手への応援歌は異例のノーゴール段階での作成。それだけゴール以外での活躍をサポーターが認めたということでしょう。そしてゴールを決めて欲しいという思いがこもったチャントだったと思います。さて、誰が見ても明らかですが、試合の方は最初の5分での2失点が全てでしたね。選手たちも気をつけなければいけないと話をして入ったそうですが、失点シーンはいずれも気が抜けていたと言わざるを得ない形。1点目は、クロスを入れられてから中に合わせられる所まで、全てフリーでやらせてしまいました。2点目はGK加藤が、相手に詰められていた永田に無理に出したことで、ボールを奪われて失点を重ねてしまいました。

豊田:現状で敵のレッズ攻略法としては「分かっているだろうが!」と叫びたくなる気分でしたが……まあ次々と場所を変えてのアウェー戦が続いたからね。ただその後のイレブンのゲーム作りが今季躍進の期待の証しを見せたと思います。2点差を追いついた。逆転ゴールとまでは行きませんでしたけれど。

椛沢:興梠にも絶好機が訪れましたが、決められませんでしたね。色々な成功体験が作れるチャンスだっただけに、あそこでは決めて欲しかった。本人も相当悔やんでいたようです。ここでメンタルを落とさずに、彼には貪欲にゴールを目指して欲しいと思います。彼の現在の胸の内については、今週のライブディスカッションにて触れていますので、ぜひご覧下さい。

豊田:応援歌の初お披露目の後、あそこで彼が決勝ゴールを決めていたらたまらないアウェー祭りになっていたでしょう。外したのは悔しさ満開と思うが、彼もレッズでのプレーの充実ぶりを見れば燻っていた鹿島時代とは大違い。次のゲームが待ち遠しい心境なのではないかと思う。彼自身も言っている通り「シュートさえ打てない警戒」を受けていますが、それだけ興梠選手はマーカーを引き連れている存在ということでしょう。

椛沢:来週は、ワールドカップ最終予選のヨルダン戦があるために、レッズは1週間のインターブレイクに入りました。ここまで過密日程で試合をこなしてきましたから、リフレッシュをして、このあとの闘いに備えてもらいたいと思います。日本代表はヨルダン戦に勝てば5大会連続のワールドカップ出場を決めます。5大会連続出場というのも、ワールドカップ出場を夢見ていたときから考えると感慨深いところがあるのではないでしょうか。

豊田:唐突なのですが、浦和の選手でれっきとした代表レギュラーとしてピッチに立った選手って、レッズ所属に限ればいまだに小野君と長谷部君だけですか?

椛沢:常時、代表レギュラーを張っていた選手で言うと、古くはミスターレッズ、福田正博選手、アレックス(三都主アレサンドロ)選手、坪井慶介選手、阿部勇樹、鈴木啓太選手もそれに当たるのではないでしょうか。将来的には、原口元気、山田直輝と、日の丸を背負ってもらいたい選手もいますね。

豊田:ACL予選リーグ、全州現代との対戦にそなえて07年の出場時にコーディネートを担当してくれた成田貴子さん(元日韓文化交流基金)と取材の調整を進めているのですが、永年にわたって韓国代表のエースだったノ・ジュンユン選手(元サンフレッチェ広島MF)の話になりました。蔚山でインタビューに応じてくれたのですが、Jリーグの花形としてギド・ブッフバルトとも相対した彼が熱っぽく語ったのは「僕はいまだにレッズサポーターの応援が忘れられない。代表においても、日本と対戦しないで手にしてしまうワールドカップ出場権は何だか物足りない気がする。やっぱりアジアの頂点は日本と争いたい」という言葉……。

椛沢:Kリーグの選手がJリーグでプレーをしたいというのは、単なる欧州リーグへの足がかりというだけではなくて、Jリーグのサポーターの中でサッカーをしたいという想いがあるそうですね。2007年のACLでは韓国でレッズサポーターが大インパクトを与えたことで、韓国全土にそのインパクトが伝わったということもありました。そのおかげで、浦議は韓国からの大量アクセス攻撃に合うなんていうこともありましたね(苦笑)。4月には、また韓国・全北での試合があります。久しくアジアの舞台から遠ざかってしまいましたから、またレッズサポーターここにあり!という所を見せつけなければいけません。今から韓国での試合が楽しみです。

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