【This Week】週刊フットボールトーク Vol.133 (4/11)
劇的勝利の磐田戦から、激闘の韓国アウェー全北現代戦
椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)
椛沢:韓国遠征を終えて帰国したところではありますが、まずは先週末の劇的勝利の磐田戦から振り返りましょう。試合日は、爆弾低気圧の上陸により、天気予報サイトからも不要不急の用事の場合は、外出は控えましょうという警告が携帯に送られてくる悪天候でした。もちろん、我々にとってレッズ戦は重要な用事ですから、スタジアムに駆けつけましたが、春とは思えない冷たい雨が差し込み、厳しい環境でした。さすがに観客動員も23,295人と少な目でしたが、この人数は槍が降ろうと来るサポーターの数なのかと思いました。そう考えるとすごい数です(笑)。
豊田:全州スタジアムのアウェー戦も底冷えがしましたが、この磐田戦も寒かった。スタンドからの熱気でよくぞ崩れかかった流れを食い止めた、そう思いました。ただゲーム自体は苦しい展開でしたね。
椛沢:試合は、18分にレッズの中央からのパスワークで抜け出した興梠がペナルティエリアで倒されてPKを獲得。それを興梠が自らキッカーに立って蹴りますが、GK川口に止められてしまいます。どこかゴールを確実に決めたいと置きに行ったプレーだったのではないかと思います。逆に26分に駒野のクロスから、森脇が裏を取られてクリアしきれずに、前田に今季、初ゴールを決められてしまいます。全北戦でも決めるところで決められず逆転を許しただけに、嫌な流れで前半を終了します。後半は、サポーターもゴールを促すようにフルスロットルでのサポートが続きました。それに応えるようにレッズはワンサイドゲームを仕掛け続けて、32分にセットプレイから森脇がヘディングで移籍後初ゴールを決めて同点。そしてロスタイムに、原口が抜け出して、1対1になり、ループシュートを決めて逆転。劇的なゴールで逆転勝ちを決めました。
豊田:失点がPK失敗の後であることを考えれば、本当によくひっくり返したと思う。こういう流れはやはりイレブン全員の信頼感と意思疎通ができていなければ望めない勝点3だと思うんですね。それを知っているからサポートにも一体感が生まれる結果に繋がる。それを考えれば、レッズは件の“デスゴール伝説”に終止符を打つばかりか(苦笑)念願の王座奪回に継続ができるものと思います。
椛沢:試合後には、試合日が誕生日だった森脇選手に「ハッピーバースデー」の歌が送られるなど、爆弾低気圧を吹っ飛ばす盛り上がりでした。水曜日には全北現代戦に、逆転負けを喫していただけに、その流れを絶ち、次の敵地韓国での試合に弾みがつけられる試合となったのですが……。
豊田:「3ポイントの土産を待っていたが、まずは無事で帰れて良かったな」と言われてとまどっています。移動と情報整理に追われて現地ニュースが見れず、北朝鮮のミサイル脅威の緊張は帰国してから知った。悔しいドロー結末ですが、それにしてもソウルから214kmの敵地。07年の折の対戦よりも全州は何やら遠く感じました。
椛沢:ソウルまではフライト事態は2時間ですが、成田までの移動。空港での待ち時間、空港からホテルへのバス移動。スタジアムへのバス移動と、アウェーならではの苦労がありましたね。
豊田:試合は、気迫に満ちた立ち上がりでした。全州の粘りも想定してはいたが、レッズのふたつのゴールが鮮やかなものであっただけに……。
椛沢:電光石火の2点先取は、正直な所、簡単に入ってしまったなという想いもあります。それでもホームで逆転を許していましたから、全く安心をすることはありませんでした。警戒をしていたにも関わらず、引き分けに持ち込まれての結果で岐路につくのは、精神的な疲れが残っています。
豊田:レッズ系メディアの方たちもずらりと顔をそろえていた。ACLの日韓戦、しかもレッズ初制覇の折にも熱戦を展開した全州相手となると、やはり周辺支持者にとっては特別な思い入れを持っての一戦でした。
椛沢:前節、ホームで逆転負けをしているだけに、さらにこの韓国のチームとの対戦は、勝ちたい気持ちを多くのサポーターが持って乗り込んだと思います。500人以上のサポーターが集まってのサポートとなりましたが、2007年の体感している者としては、あの空気があれば勝てたのではないか……と思ってしまうところも正直な感想です。引き分けに持ち込まれてしまったという結果はサポーターとしても守りきれなかったという責任感があります。
豊田:アウェーの道のり風景も心に残りました。観戦ツアーに参加させてもらったのですが、レッズのレプリカを着た韓国人の女性ガイドがファミリー連れのレッズサポーターの子どもさんをかいがいしく世話していたりしたな。何かとライバル対決の煽りが強調される日韓戦ですが、せめぎ合いになったゲームとは好対照の場面でした。
椛沢:試合はライバル韓国との、まさに激闘と言ってふさわしい試合になりました。詳細のレポートは、別途お送りをしますので、ご覧頂ければと思います。