浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「優しい残り香~デスポトビッチ選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

浦和を愛した外国籍選手、ランコ・デスポトビッチと、一番のサポーターだった女の子との別れ。

5月29日、小雨がぱらつく試合前の埼玉スタジアムのピッチに、ユニホームでは無くチームのポロシャツを着たランコ・デスポトビッチ選手の姿があった。

ランコ選手は、何度も何度も胸のエンブレムを拳で叩き、一人々に感謝の気持ちを込めてゆっくりとスタジアムを周り、最後の別れの挨拶を交わした。契約満了に伴い浦和を離れることになったランコ選手は「チームを離れるのは、哀しい。哀しいと言う表現では、ソフトな感じがしますが・・・。こういう形でチームを去るのは残念だ。一方で、こうして愛して頂けて嬉しいですし、この瞬間は忘れない。今まで在籍したクラブでは無かったことなので、浦和は自分にとっては特別な存在だ。日本に来て、親切な方々と触れることが出来て、いつか、また日本でやりたいという気持ちはある。選手だけでなく、浦和に関わる方々がファミリーになっている。今までには無かったことだ。浦和も日本も非常に好き。また、いつか帰って来ることが出来たら嬉しい。皆さん、笑顔でいて下さい」と爽やかな笑顔でランコ選手は話した。

浦和を愛することが出来たランコ選手だから、浦和から愛されてファミリーの一員に自分自身もなれたのであった。この日、ピッチを去るランコ選手に惜しみない拍手が送られていた。

浦和に移籍してきて、約2年間。その間、リーグ戦25試合、ナビスコ杯9試合、天皇杯2試合に出場し、6ゴール決めた。チームの状況や怪我の状態もあり、今シーズンはベンチに入ることすらなかったランコ選手にとって、個人的に不本意な成績であった。ランコ選手は「プレーヤーとして、誰しも思うように活躍したかったのは、本音のところだ。ただ、何度も怪我をしたりしてしまった。自分を支えてくれた関係者、同僚、サポーターにもっと色んな形でお返しをしようと願ってやって来たが、それが出来なかったのが心残りでもある」と寂しげな表情に変わった。現時点では、移籍先は決まっておらず、まずは母国のセルビアに帰国することとなったのだ。

最後の挨拶となった前日の大原には、ずっとランコ選手を無償の愛で支えて大きな力を与え続けて来たももかちゃんの姿があった。(大切な家族

大きな茶色のリボンの可愛らしいワンピースを着て、ランコ選手のために特別にお洒落をしたももかちゃんは、別れが辛く、うなだれていた。いつもなら笑顔で元気に挨拶をしてくるももかちゃんであったが、さすがに元気が無い。

「子供ながらに、ランコさんのことがショックで・・・。幼稚園もお休みしてしまったんです」と心配そうにももかちゃんのお父様は我が子の頭を撫でた。そして、バックから大切そうに香水を取りだして「ももかがランコさんに抱っこしてもらうと、いつもランコさんが付けている香水が、ももかに移り香で残るんですよ。ランコさんもそれを知っていて、自分の香水をももかにプレゼントしてくれたんです。この香りでももかは安心するんです」と教えてくれた。

ランコ選手は「モモカは、毎日、毎日大原に来てくれて、僕に笑顔と幸福を届けてくれた。一番素晴らしいサポーターの1人。彼女は、自分のため、レッズのためにサッカー選手になりたいっと言ってくれた。モモカ!頑張って下さい!」とエールをももかちゃんに送った。話の最後に片言の日本語で「頑張って下さい」と話したランコ選手の気持が嬉しく響いていた。そして、プレゼントされた香水は、離れていても、いつも心は繋がっている証である優しい香りの香水であった。

「自分が掲げる訳では無いが、カップを掲げるシーンを将来的に見れたら嬉しい」と話す浦和に対するランコ選手の思いは、あの香水の香りのように、心の中に優しく残り香となった。

Q.読者の方からの質問でフットボールの現場で良く使われる「RICE」について具体的に川久保先生に教えて欲しいとリクエストが来ました。「RICE」をおしえて下さい。

A.肉離れや打撲、捻挫、骨折などの急性外傷を起こすと、まずその部位は出血し、引き続き炎症が発生します。その結果、外傷部位は腫れ、痛みがひどくなります。「RICE」はこの急性外傷の初期治療として基本の処置となります。「R」はRESTで安静。「I」はICINGで冷却。「C」はCOMPRESSIONで圧迫。そして、「E」はELEVATION、挙上という意味です。「RICE」処置を行う事により、出血を止めて、腫れを抑え、結果として痛みを和らげる効果があります。正しい「RICE」処置を行う事で、組織の代謝を抑制し、周囲に波及する組織の二次性の損傷も抑える事が出来き、結果として、怪我の治癒が促進されます。「RICE」は受傷後およそ3日間継続することが重要です。

川久保誠 profile

1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
川久保整形外科クリニック
整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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