【This Week】週刊フットボールトーク Vol.144 (6/20)
史上初のジュニア年代でのさいたまダービーが実現。
椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)
椛沢:先週末の全日本少年サッカー大会、埼玉県大会では、ジュニア年代、史上初のさいたまダービーが行われました。今季から活動スタートしたレッズジュニアがベスト4まで勝ちあがり、大宮アルディージャジュニアとの対戦でした。埼玉スタジアム第3グラウンドで行われたダービーは、小雨が降る中、組織力の高さを見せる大宮が終始攻勢。前半終了間際に大宮が先制すると、その後も浦和の攻撃を抑えて、危なげなく決勝に駒を進めました。この年代では県下最強といわれる大宮を相手に浦和も気迫は見せましたが、経験値の違いを見せつけられてしまいました。
豊田:育成に関する蓄積、特にジュニアユースまでのアルディージャの体制は現状でレッズをリードしていると言わざるを得ない。浦和レッズのジュニア創設はその部分の遅れを修復する意味合いのものでなければなりません。というのも、皮肉なことに大宮の成長プロセスはアルディージャGMを務められていた清雲栄純さんの「レッズの手の届かない部分からクラブの成長を目ざす」という指針のもとに辿られているからです。中でもこの「地元才能の育成」というのは重要課題であったわけで、詳細のいきさつは『浦和フットボール通信』のバックナンバーvol.27号のダービー特集で語られてもいます。「育成をともなわないフットボールの組織運営はファンに愛される継続性を失う」等々、示唆に富んだコメントも掲載されていますので、ぜひご参照を。
椛沢:準決勝には決戦を見守る親御さんや子供たち、サポーターも多く駆けつけていて、ジュニア年代のダービーも大人顔負けの盛り上がりでした。サッカーの街・浦和として育成においても負けるわけにはいきません。レッズジュニア創設を起爆剤に、浦和少年団と切磋琢磨をする浦和の育成世界を創り上げて欲しいと思います。さて、全少埼玉県大会は、レジスタFCが初優勝。昨年、新座片山が全国制覇を果たしているため、準優勝の大宮アルディージャも全国への切符を勝ち取りました。県勢2連覇をかけて全国での活躍も期待したいところです。
豊田:昨年の新座片山の優勝は、個の力のパワーアップというテーマ達成を強く意識した内容でした。「いかにゲームを支配するか」を追う近来の強化方針の主流にスパイスが加えられた印象で、一石を投じるチーム作りとしてインパクトを感じた次第です。ジュニア年代は結果よりも将来への布石が意味を持ちます。勝敗は別にしても、全国の子どもたちとその指導者がどんなベクトルのもとに精進しているかを見れるチャンス。夏休みの7月28日から8月3日までの開催期間で、会場は愛鷹広域公園(静岡県沼津市)。おおいに注目したいと思います。
椛沢:さて、先週金曜日には、『URAWA TOWN MEETING 006』を開催しまして、酒蔵力浦和本店に、浦和レッズ橋本光夫代表をお招きしての会となりました。橋本代表には3回目の登場を頂き、今、話題になっているシーズン移行、2ステージ制についてのお話から、現状のレッズ、中長期ビジョンでみたチームなど、さまざまなテーマでお話をして頂くことができました。橋本代表としても、このタウンミーティングは重要視をしてくれているようで、この会では様々なことを発信して頂けているように思えます。この詳細レポートは後日アップさせて頂きますので、暫しお待ちいただければと思います。
豊田:クラブサイドからの発信に関し、会のフォーマットとしては安定した形が見えてきたと思います。橋本代表のコメントにも、諸般イベントなど他の機会での挨拶にはない「ホームタウンへのアピール」の熱気が生まれてきていると感じます。ただ反省点として、周囲の方から「代表自身が登場する貴重な機会なのだから、“会の独自の質疑部分”をもっと掘り下げて欲しかった」という声もありました。2シーズン制に関する議論もJの未来にかかわる重要課題ではありますが、クラブ自体もホームタウンに対して説明しきれていない構造部分を抱えています。タウンミーティングがTalk on togetherのミニチュア版になることは本意ではありませんので、以後の開催もテーマ設定を明確にして継続していきたいと思います。今回分に関しても、フットボール通信なりに一定回答は引き出せたと思うので、会の評価は読者の皆さんにお任せしたいと思います。
椛沢:このタウンミーティングもそのコンテンツのひとつになっていますが、『浦和サッカーフェスタ』では、先週土曜日に、浦和レッズOB親子スポーツクリニックが浦和駒場スタジアムで開催をされて、こちらも駒場のメインピッチで親子がレッズOBと楽しく遊ぶという非情に素晴らしい光景をみることができました。イベント終了後には、昨季で引退をした宮沢克行さん、小林宏之さんの引退セレモニーも行われました。二人とも鳴り物入りでのレッズ加入で、大活躍とまではいきませんでしたが、記憶に残るプレーを浦和でも見せてくれて、その後も長くJリーグで活躍をされました。小林さんは「他のチームでプレーをしてみて、この浦和で多くの人に応援されていることの幸せを感じた。引退した後も、この浦和で引退セレモニーをやって頂けるのは幸せなこと。今後もレッズのために何か協力できることはしていきたい」と語っていました。現在は地元の北海道に戻って先生としてサッカーを指導されているそうでした。
豊田:宮沢さんは浅利悟さん(現FC東京強化部)、金澤浄さん(現ジュビロ磐田)らと全国大会で武南高校の一時代を築いた地元でもおなじみのプレーヤーとして記憶されています。特に降格からJ1復帰の時代となる2000年前後のシーズンでは鋭い動きのサブプレーヤーとしてチームを活性化する重要な役どころを演じてくれました。お二人とも今後の活躍に期待したい。
椛沢:宮沢さんは、浦和レッズハートフルクラブのコーチとして、浦和での活動を再開されています。今週末にはナビスコカップ準々決勝のセレッソ大阪戦が敵地・長居で行われます。ACLに出場していたレッズは決勝トーナメントからの出場です。中断期間をはさんでリフレッシュしたチームが、どのようなサッカーを展開してくれるのか楽しみにしたい一戦です。