【This Week】週刊フットボールトーク Vol.146 (7/5)
新たなURAWAの力、Jリーグの理念を実現する市民の会
椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)
椛沢:先週末の日曜日には、ナビスコカップ準々決勝第2戦セレッソ大阪戦でした。レッズは見事トータルスコア3-1でセレッソを破り、準決勝に進出をしました。準決勝の相手は川崎フロンターレとなり、頂点が近付いてきました。3年ぶりの決勝国立。そして10年ぶりのカップウィナーをぜひ、目指してもらいたいです。
豊田:安易なジンクスや気の早い話は禁物ですが、H&A戦を考え合わせると願ったりの相手です。等々力では「してやったり」の思い出が多いだけに……。
椛沢:準々決勝の第2戦は、興梠が左ハムストリングの軽い肉離れで欠場したことで、マルシオのワントップを試しましたが、これは全く機能しませんでした。マンツーマンで潰しにかかったセレッソ対策で、マルシオへの楔のパスは尽く奪われてしまい、そこで起点が作れないために、攻撃のリズムを作ることが出来ず、開始早々からセレッソにペースを握られて、早々に失点をしてしまいました。途中から原口がワントップに入り、マルシオがシャドーに下がることで、落ち着きは取り戻しましたが、興梠の存在の大きさを感じることになりました。
豊田:残念なのはマルシオが先発機会に望ましい成果を出せないままここまで来てしまっている印象があることです。逆に言えば、勝負どころのサブで登場した時の切れ味の方が、昨今の立ち位置に叶っているのかも……。いずれにしても流れが思わしくないゲームを何とか持ちこたえ、悪いなりにもドローの勝ち上がりを手にするあたりは頼もしい。立ち上がりのセレッソの逆転への意気込みは伝わっていたから。得失点を睨みながらの試合づくりはベンチとイレブンとの一体感がないと出来るものではありません。
椛沢:同点のシーンはワントップに入った原口がボールをうまく収め、左サイドから上がってきた梅崎にパス。受けた梅崎が切れのあるドリブルで相手をかわしてゴールした。ここで勝負がありました。これで余裕が出たレッズは、この後の時間はしっかりと自分たちのサッカーのペースを取り戻して1-1で終了。トータルスコア3-1で準決勝進出を決めました。
豊田:トラップから切り返し押さえの利いたショットまで、梅崎ならではのパワフルなリズムがありました。全般の攻防を振り返ってみても「崩す連携」には持ち込めていなかったゲームだけに、あの個人プレーでフィニッシュまで持ち込んだトライは大きかったと思います。取れずに終盤に持ち込まれたら分からなかったし、ここでもたつく様ではファンもリーグ戦まで気分を引きずってしまうところだった。
椛沢:そして先週末は、もうひとつイベントがありました。浦和パルコ10階のコムナーレ大ホールにて、川淵三郎キャプテン講演会が開催をされました。これは浦和サッカーフェスタのコンテンツの一つとして、Jリーグの理念を実現する市民の会の皆さんが主催となって開催をされたイベントです。会場にも300人近い多くの市民が集まって、川淵さんの熱いメッセージに聞き入っていました。
豊田:編集長もひと役買っているそうなので、その部分の褒めすぎは禁物ですが(苦笑)。
素晴らしいイベントのオーガナイズでした。轡田さんの挨拶に始まるイントロから川淵さんの熱いメッセージに至るまで、一人のサッカーファン、旧浦和市民としてこの席に立ち会えたことを本当に嬉しく思います。川淵さんもレッズランド完成に際し、犬飼元代表に招かれた思い出のくだりでは、涙ぐまれていたような……。またコムナーレのシート風景も最高でしたね。正直、浦和レッズ単独のイベントではお目にかかれないような浦和サッカー重鎮の方々まで揃っていたことに感銘を受けました。催会に尽くした皆さんのご苦労の賜物でしょう。
椛沢:今回は、私が企画して商店会の中で立ち上げた『浦和サッカーフェスタ』というサッカーを通じて街を盛り上げようというイベントの一環として、川淵さんの講演会も開催をして頂きました。川淵さんの『スポーツでもっと幸せな国へ』という理念を20年前に掲げて、それが着実に近付いている凄さというものを感じました。今、Jリーグはレギュレーション変更などで、人気回復に躍起ですが、この20年間の積み重ねもしっかりあるわけで、その歩みは続けて欲しいと思います。そんな理念を実現するために、浦和にも『Jリーグの理念を実現する市民の会』という一般社団法人の団体も立ち上がりました。
豊田:こちらは与野駅周辺の浦和高校サッカー部OBの医師会先生方や(株)東洋給食代表の井原正さんらから声が上がり、2年ほど前から準備ミーティングを進めてきた組織。私はこの会の方の創設ミッションを手伝わせていただきました。実は与野フードグループの御曹司でもある井原さんは私の小学校時代からの同窓生。轡田さんからのご紹介もあってスタート直後のスローガン作成を承り、ちょうど大住良之さんにJの「クラブライセンス制度」に関する対談をした直後だったこともあって「Jの理念はレッズが示せ」というフレーズを提案させてもらいました。この会の中心部の方々は凄い行動力が特長で、何と1か月後のリーグ開幕戦にはこのフレーズを掲げたフラッグが埼玉スタジアムに翻っていたのです(笑)。
この弾幕を目にした村井満さんや五十嵐弘さんら同会の現理事にある方々が主旨に賛同され、この日を迎えるまでの大きな推進力になって下さったそうです。
椛沢:これぞURAWAのパワーですね。市民レベルからの熱い思いがこのサッカータウンを支えていると思います。これからのURAWAにも期待です。さて、今週末、土曜日からJリーグも再開されます。レッズは国立に乗り込んで、ヴァンフォーレ甲府戦となります。中断明けの7月は過密日程の中で試合が矢継ぎ早に来ますが、まずその初戦となる甲府戦をしっかりと勝利して、勢いをつけたいところです。