浦和フットボール通信

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浦和で出会った 「フットボールの名言」 10選。(完全版)(2)

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椛沢レッズジュニアに行けなかった子たちで、レッズジュニアに勝って見せたいとのコメントを出された吉野弘一監督と吉川政男団長率いる北浦和少年団は、町田隆治さん(元FC浦和監督)をして「年ごとに異質の才能を輩出するタレント宝庫」と言わしめましたが……。

豊田:吉野さんは「生活面は別だが、サッカーに関してはあれこれ言いません。技術のある選手はマークのきついポジションに置くので、結果としてアタックのセンスを持った子の輩出ができていると思う」と言われていました。いうまでもなく山田直輝選手と矢島慎也選手は地元出身のプレーヤーとしてレッズの主力に到達した代表格のタレントです。

椛沢:直輝選手はしっかりとURAWAマインドを継承するインタビュー談話を残してくれています。

⑥「PRIDE OF URAWA」の断幕を見ると、涙が出そうになる。

この言葉はサポーターが気持ちの支えとしている原点部分。聞いた時は身震いがする思いでした。

豊田:怪我から復活した直輝君は吉野監督の秘蔵弟子。彼の活躍は読者の皆さんとともに本誌が待ち望むテーマです。読者の方々からもさまざまに反応をもらいました。

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後輩である矢島君も山田君のような意思表明ではないけれど、印象的な少年時代のエピソードを聞かせてくれました。

*レッズ戦の夜はテレビ中継も見ないで自宅の庭に出た。駒場から聞こえる歓声を聞きたくて……聞こえた後で、得点になったかどうかを確かめた。

「あるだろうな」的な共感というか(笑)、実にURAWAらしい叙情風景で妙に印象に残っています。

椛沢:矢島選手も駒場にレッズを見に来た時はサポーターが繰り広げるスタンドの応援ばかりを眺めていたと言っていたのも印象的でした(笑)。この街の誇りを背負って応援をしているサポーターの心意気が伝わっていると実感できるのは、これ以上にない悦びですね。

豊田:レッズサポーターの賞賛コメントとしては、私はやはりACL初挑戦の折に宿敵韓国の敵地で聞いた「驚きと賞賛」の言葉が忘れられません。あの時のクラブとサポーターの熱気は確実に敵地・韓国を席巻していたと思います。以下は、全州ワールドカップスタジアムで敵サポーターから聞いたレッズサポーターの印象です。

*韓国メディアはURAWAが持つ「サッカー愛」をもっと大きく報じるべきだ。彼らの発炎筒も、大コールも、大量動員も、それがなくては出来ないはずだから。代表チームしか応援できない我が国のファンとは大違いと思う。

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椛沢:2007年の全州と城南の韓国アウェイ戦は、このACLのサポーター的ハイライトと言っても良いサポートだったと思います。今ではアジアでも規制が厳しくなってきた、発炎筒パフォーマンスと大挙押し寄せたレッズサポーターの大群によるサポートは韓国全土に驚きを与えたと聞きました。浦和フットボール通信も「本誌現地配布号」を作り、この一戦を盛り上げたことも懐かしい思い出です。スーツケースに冊子をたんまり詰め込んで韓国に持ち込んだフットボール通信のスタッフも気合が入っていました。

豊田:現地通訳・コーディネートをしてくれた成田貴子さん(元日韓文化交流基金スタッフ)も、「サッカー、それもサポートに関して韓国が日本をこれほど賞賛する声を聞くのは初めて」と驚いていました。

椛沢:さらに本誌が追ってきた「PRIDE OF URAWA」の考察を進めましょう。豊田さんが考えるこのテーマに関して、記憶に残る言葉はありますか。

豊田:本質的な意味においては、07年創刊2号で全国制覇の指揮官である磯貝純一さん(元浦和市立監督)が言われた以下の言葉です。

*浦和のサッカーの本質は「人間形成」。(時代とともに)プレーや戦術が変わろうと、これは変わることはありません。

淡々と口にされた淡々とした言葉なのですが、簡単なようで実現はできない、意味が深いフットボールへの思い入れと思います。私にとっては、すばりトッププロである浦和レッズにも踏襲してほしい思想。目先の勝利とか目先のビジネスにむやみに走らない。最終的にはサッカーに携わる価値ある才能や指導者を長い目で育てて欲しい……。ホームタウンにあるべきスタンスを述べられたと思います。

椛沢:同様の提言は、横山謙三さん(元浦和レッズGM)や史上初の高校三冠を達成した松本暁司さん(元浦和南高監督)からもお聞きすることができました。

*浦和サッカーを再建するためには指導者育成のシステム確立が絶対条件。自分もさまざまに手がけてきたが、静岡に比べれば20年は遅れている。― 横山謙三

*将来への指導の現場、次代の監督の育成手法にも疑問を感じます。選手にじかに接しているか、あるべき情熱で戦術を考え、イレブンと共有する努力は足りているか。私はそれを問いたい。― 松本暁司

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豊田:それぞれサッカーの街を象徴する重鎮ですが相反する意味さえ抱える提言をされたあたりも興味ぶかい。いつの時代にもURAWAのサッカーはより良き未来のために試行錯誤を続けてきた証しでもあるでしょう。

椛沢:横山さん、松本さんは共にこの街のフットボール再建に熱い思いを語ってくれました。松本先生は、また私がグラウンドで生徒達を教える気構えだってあるとお話をされていたのも記憶に残っています。埼玉の高校サッカー界の期待を担っていよいよ浦和南高校監督に就任した野崎正治さんからも、以下のようなメッセージをいただきました。

⑦王国復活へのライバルが欲しい。地元の切磋琢磨が欠かせない。

豊田:宿敵である西武台高校・守屋監督との対談や武南高校・大山監督へのエールの中に含まれていた言葉。公立高の模範としての復活を模索し続けてきた野崎さん。指導者育成の環境までも含めた、ホームタウンでの「対決の構図」を求める発声でしたね。

椛沢:大山先生は武南高校という当時新興勢力だった高校を強豪校に伸し上げた名称ですが、浦和の壁の高さ、そして浦和を追い越すというライバル心により、力を伸ばしたと言っていたのが印象的でしたね。幾多のJリーガーも育てた大山先生の以下の言葉も忘れられません。

*地元トップの才能は、最高の環境を持つ浦和レッズが獲得すれば良い。私たち指導者は最大の敬意を払って、それを優先させますから。― 大山照人

豊田:大山さん一流のアイロニーも含んだメッセージかも?(苦笑)。武南高校史上、最大のタレントであろう室井市衛さん(レッズハートフル・コーチ)と田島中学同級生だった阿部敏之さんが口をそろえて僕らが高校の頃にいまのレッズがあったなら、鹿島ではなくレッズを選んだとコメントしたことも忘れられません。

椛沢:高校サッカーにもURAWAマインドは生き続けていますね。王国復権はぜひとも果たして欲しいテーマです。地元の才能育成については、FC浦和も思いは同じ。全国優勝を果たした直後に、町田隆治監督から発せられた言葉は心に残ります。

⑧埼玉、浦和から日の丸をつける選手を輩出したい。

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このFC浦和優勝号が浦和の小学校校長室本棚に飾られているのを見た時は、個人的に本誌創刊の達成感を最も感じた瞬間だったことを申し添えましょう(笑)。

豊田:先のタウンミーティングで三度目の登場をいただいた浦和レッズ・橋本光夫代表の言葉で続けましょう。クラブ史上の最長任期・5期目に入った橋本さんの同ミーティング第一回でのコメントは多くの反響を呼びました。ホームタウンとサポーター、浦和レッズの絆を確認する価値ある言葉をいただけたと感じています。

⑨浦和に継承されるスポーツ文化を、レッズの都合で変えてしまうことは許されない。

椛沢:レッズが厳しい状況下にあった際の橋本代表のこの言葉は、力強さを感じましたね。その後もぶれない姿勢で、ホームタウンとの絆作りを推進されています。浦和出身の犬飼基昭元代表の言葉は、体現され始めているテーマなのではないかと感じます。

⑩浦和が積み上げてきた経験値、思いなくしてレッズは成立しない。

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このURAWAという街のフットボールへの愛情は全国のどこにも負けないものがあると思います。その想いは、少年団の指導の場、中学、高校サッカー、レッズのスタジアム、各所で垣間見ることが出来ます。そんなホームタウンの人々の誇りと思えるクラブにより浦和レッズがなるために、『浦和フットボール通信』は情報発信をし続けていきたいと思います。

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