浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.154(8/29)

完勝の清水戦と完敗の横浜戦

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:昨日の横浜戦は、完敗でした…・・・。まずは先週末の清水戦から振り返りましょう。ちょうど一ヶ月前に磐田戦で訪れたエコパスタジアムでの試合となりました。名古屋戦の時のような渋滞は無いだろうと車を走らせましたが、またもや東名は渋滞をしており、長い道のりで掛川にあるエコパスタジアムに到着しました。エスパルスも今季初のエコパでの試合ということで、彼らも使い勝手を知る、サッカー専用の日本平ではなくて、エコパで試合をするということで、ホームアドバンテージはかなり少なくしているのではないかと感じました。実際にアウェーの雰囲気は全く感じることはありませんでした。

豊田:都内でテレビ観戦でしたが、店のモニターで見ていた人たちも一様に「エコパならホームゲーム」と豪語するほど。雰囲気の占有率はそつなく浦和が握ったことが良くわかりました。優勝への趨勢が決まる大事な期間だけに、ここからの後押しは欠かせない。連続参戦のサポーターたちには頭が下がりますが、選手と同じく体調維持に気をつけて欲しいです。

椛沢:試合は、序盤からレッズのサッカーが完全に嵌りました。サイドを効果的に使い、先制点もその左サイド、宇賀神を起点に、興梠、宇賀神とつながり、裏に抜け出てた柏木が胸トラップでボールを受けて、右足を一閃。先制点を決めると、26分にも那須のロングボールをポジションチェンジしていた宇賀神が裏に抜け出てボールを受けてシュート。GKに弾かれたボールを興梠が押し込んで2点差としました。宇賀神はエコパでの磐田戦では低調なパフォーマンスだったこともあり、同じスタジアムでのリベンジを誓っていたようです。後半もサイドから好機は作りますが、ゴールは決めきれず。しかし、落ち着いてバックラインでボールを繋ぎ、試合を通してゲームをコントロールして、清水を相手に快勝をしました。ホームではワンチャンスを決められて負けていただけに、試合後の「王国浦和」のコールは、よりいっそうエコパスタジアムに響き渡っていました。

豊田:宇賀神選手の動きには、ここに賭けている気迫が見えました。伸び盛りの年齢を考えても、この波をキープできれば大きく変われる素材と思う。レッズの選手らしいというか、彼の魅力でもあるのですが(苦笑)プレーの引き出しを積み重ねて常にベストパフォーマンスを発揮できる選手になって欲しいです。また、ボール回しに一定のリズムさえ生まれれば柏木君の動きが機能し始めるミシャレッズのゲームメイクの構造がよく分かる試合でした。そのリズムを保っての完封勝利は大きかった。守備破綻の気配が続いていただけに、着実にゲームを終らせるリズムを維持してタイムアップまで持ちこたえた場面にはほっと息をつきました。ただ前回の埼玉スタジアムの件もふくめて王国対決がクローズアップされる当カードですが、低迷するジュビロ磐田も含め、エコパ舞台での静岡のJチームはファンも含めて何やら淡白になっている印象があって残念だな。

椛沢:清水戦では残念な事件も起きてしまいました。試合前に暴れたとされるレッズサポーター4人が逮捕されました。まだ事実関係は不明ですが、このような事件が起きたことが残念でなりません。レッズサポーターという存在は、社会的影響力を大きく与えるという自覚を、皆がもっと持つべきなのかもしれません。

豊田:残念なことにサポーターのアクシデントは毎年くり返されています。ただ、今回のそれはやった行為の内容、発生場所や情況、チームが置かれているポジション、クラブとサポートサイドとの関係性から見ても一切の意味が見出せない愚行……こういう事件はダメージが大きいですね。オフィシャルでは「今後一切の試合会場への入場の禁止」が発表されていますが、措置の徹底をお願いしたいです。同時に当然の対応と思うのですが、私たちサポートサイドも、もはや「対応はクラブに一任」という段階ではなくなってきたように思います。本誌執筆でもお世話になった海江田哲朗君が『サッカー批評』で著している「勝たなければならなかった時代のサポーター論」を引き合いに、「サポーターという肩書きが下世話なブランドに引き戻される危惧」という声が上がっていますが、その通りの現状と思います。

椛沢:昨日行われた敵地・日産スタジアムでの横浜Fマリノス戦は、2位横浜との上位対決で、首位に躍り出るチャンスもあるビックマッチでしたが、レッズが完敗を喫してしまいました。厳しいプレッシャーを受けて、レッズのポゼションサッカーをやらせてもらえずに終始リズムはつかめませんでした。前半早々に最終ラインの繋ぎのミスで、先制点を許したことで試合は更に難しくなりました。最近のレッズで良くないのは、失点をすると立て続けに失点を重ねてしまうこと。この試合も2失点目を守備の緩さを突かれて、マルキーニョスに決められてしまいました。後半の立ち上がりにも中村俊輔に決められて3失点。これで試合がほぼ決まってしまいました。試合の運び方、内容、結果、全てが最悪の試合となってしまいました。

豊田:エスパルス以上にリベンジを誓ったゲームでしたが、樋口監督以下のマリノスはレッズを封じ込める自信を体得しているようにさえ見えます。前節で痛手を負うクロスゲームを鹿島相手で落としているというのに、ホームスタジアムに出てきた敵イレブンには余分な緊張感は一切ない。開始早々から慎重なレッズの立ち上がりの意識を読みきって、ぐいぐい守備網を圧迫して来たプレー度胸には憎らしさも感じてしまった。チーム破綻した傷口にはあえて触れませんが、30代半ばを過ぎている相手主力に出足でも当たりでも完敗。守りのボール回しだけでズルズルと主導権を握られた展開は、サポーターも含めて忘れるべきではないです。相手マリノスが目の前で見せつけてくれたように、こういう停滞を足場にして跳ね返せるメンタルがなければタイトル奪取は大きく遠のくでしょう。

椛沢:横浜戦のような苦しい展開の時にどのように戦えるかが、これからのリーグ戦を戦い抜く上では重要になってくるテーマになると思います。良い展開の時だけに勝てるチームでは勝ち点を取りこぼす試合が出てきてしまう。それでは頂点を目指すには物足りないでしょう。今週末は連戦が続きます。ホームに戻っての新潟戦。こちらも調子を上げているチームだけに油断はできません。しっかりと走りぬく。球際で戦う。当たり前のことをまずはやって、勝ち点3を目指してもらいたいと思います。

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