浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.162 (10/23)

白熱の鹿島戦に勝利。最高潮の中、リーグ終盤戦へ

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

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椛沢:先週末は、敵地・カシマスタジアムでの鹿島アントラーズ戦でした。この試合を重要視して、この日に向けてサポーター有志が綿密に企画を立てて、鹿島4,000人バスツアーを計画していました。朝7時に埼玉スタジアム集合で、数多くのレッズサポーターが集まりました。最終的に鹿島へは61台のチャーターバスが乗り込み、レッズを後押ししました。スタジアムは試合前から殺伐としており、バスツアーで集結して盛り上がるレッズサポーターを煽る、鹿島サポーターが見受けられ、逮捕者も出る騒ぎもありました。ゴール裏スタンドは通路も塞がるほどの密度で、この日は赤いものを身につけて『True RED』を示そうと、普段は黒い服を着ている中心部も思い思いのユニフォームなどを纏い、真っ赤に染まりました。

豊田:なるほど。客席のレッドダービーの盛り上がりぶりが分かります。私は古参メンバーのクルマに同乗しての参戦でしたが、台風の影響で空模様も風雲急。特に行方市内に入ってからはスタジアムに向かって雲がたれこめている感じで、鹿島戦らしい決闘ムードは満点だった。

椛沢:鹿島側のホームスタンドもお馴染みのビックフラッグお披露目タイムがあり、試合直前から複数毎のビックフラッグがスタンドに翻っていました。不思議なのは選手が登場するころには、このビックフラッグ達は終ってしまいます。選手を鼓舞するために登場させる、レッズサポーターの感覚だと良く分からないお披露目タイムです。

豊田:うんうん、あれはFC東京の「元曲が分からないユルネバ」に匹敵する謎。かつての巨大英文ボードのスペルミス以来の鹿島の芸風でしょうか(笑)。

椛沢:カシマスタジアム今季最高の大入り32,305人とスタジアムの熱気は、Jリーグ最高のマッチを表していたかもしれません。鹿島から帰宅後に、Jリーグが盛り下がっているとテレビのサッカー番組で説明するJリーグ幹部の話に、なんだか首を傾げたくなってしまう光景が、そこにはありました。

豊田:出アタマの『ウォーリアー』、良かったな。鹿島のスタジアムルーフの反響はレッズ向きだと改めて感じたし、広がる赤が曇天のもとでむしろ象徴的に映りました。

椛沢:始まったゲームは、この数試合、自信を取り戻したレッズイレブンが、この日も積極的なファーストディフェンスと積極的な姿勢でゲームの主導権を握ります。そして20分、柏木の左CKから那須大亮の今季8点円となるヘッドで先制。今季の武器となっているセットプレイから大きな先制点を奪いました。その後もチャンスは作れども、決定的な形は作れず、前半を折り返しました。前半から苛立っていた鹿島FWのダヴィはスタジアムの雰囲気にも煽られていたところがあるのかもしれませんね。

豊田:彼のヒートアップはスタンド2階席から見ても明白で、老獪なトニーニョセレゾなら最悪の事態を避けるために早めの交代でピッチから外す決断もするのでは?と考えました。ただ、あのゲームに値する攻めのコマは自軍ベンチにはいない、という判断だったのでしょうね。

椛沢:そのダヴィは、後半2枚のイエローカードを受けて退場。退場の前に交代させようとしていた中での出来事だったようです。それも含めて浦和に流れがありました。71分には、原口元気の真骨頂である打開力のあるドリブルからカットインをしてのゴールで追加点。この男の復調は終盤戦に向けて大きな原動力になりそうです。

豊田:真横の位置の二階席から見ていましたが、グラウンダーなのに加速していくような彼独特の弾道が目に焼きついて……ハイタッチで大揺れになる客席で、思わず「美しい」と小声でつぶやいてしまった。個人的にはあの一瞬だけで入場料ではとても買えない感覚を味わいました。

椛沢:終了間際の87分には大迫にゴラッソゴールを奪われますが、そこで焦ることはなく危なげなく2-1で勝利。“さいたまダービー”に続き、宿敵の鹿島からも勝利をして、勢いのつく連勝を果たしました。この日もカシマスタジアムに響き渡る『We are REDS!』のコールは迫力満点でしたね。このカシマスタジアムでの勝利は、いつまでも経っても最高なものです。

豊田:札幌や名古屋で点取り屋としての実績を存分に示したダヴィも、川崎の攻撃イメージを一身に担っていたジュニーニョも、アントラーズにあってようやく覚醒したと思います。でもあのゲームの熱は、やはり特別だったのだと思う。他のJチーム経由での鹿島入団組に依存する現状は、かつてのアントラーズのイズムに敬服した身としてはちょっと物足りない。やはりクラブ力としてのポテンシャルは低下したという印象を受けました。まあ、バイエルン・ミュンヘンから来たジョルジーニョと、FCサンパウロでレオナルド(ともに94ワールドカップ優勝メンバー)がいたころの鹿島とは比べようもないですが。

椛沢:鹿島戦翌日には、ナビスコカップ決勝のチケット一般販売がありました。今回からシーズンチケット対象者の抽選発売などもあり、チケット争奪戦は緩和されてはいましたが、一般発売日は相変わらずの争奪戦で、各所の端末機では多くのサポーターが奮闘をしていました。このような争奪戦も久々の光景ですね。ナビスコ決勝戦、リーグ戦と、熱気を帯びた終盤戦になってきました。今週末は、ホームに戻り、柏レイソル戦です。

豊田:以降の埼玉スタジアムは5万人ノルマの気分で盛り上げたいです。くり返しになりますがこんなシーズン終盤は望んで観れるようなシロモノではないですから。

椛沢:柏戦はナビスコ決勝の前哨戦にもなりますが、浦和は累積による出場停止で、興梠、森脇を欠く布陣となります。駒場で敗退した天皇杯の試合でもバックアッパーの突き上げがなかなか見られない現状ではありますが、彼らの穴を埋める存在の登場が望まれます。出場停止リーチの選手もその他、原口、宇賀神、梅崎、マルシオ、鈴木啓太と5人いる状況の中で、残り5試合の終盤戦に向けて総合力が試される一戦となりそうです。この山場を盛り上げていきましょう。

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