浦和フットボール通信

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河合貴子×椛沢佑一 浦和レッズ2014ライブディスカッション 「シャドーの梅崎がチームを活性化させる。直輝奮起せよ!」

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レッズ密着取材を続ける河合貴子氏に、本誌・椛沢編集長が浦和レッズの現状や選手達の思いを訊く「レッズ2014ライブディスカッション」。リーグ前半戦を首位で折り返し、ワールドカップ中断明けの数試合を戦った、浦和レッズの現状について、河合さんにお話を訊いた。(浦和フットボール通信編集部)

梅崎のドリブル突破!直輝の復調に期待!

河合:シャドーでは、梅崎も良いからね。陽介は自分のクロスに対してはすごく自信を持っている。腰の状態が思わしくない時もあるけれども、良い時はすごく切れている。あとは、山田直輝も良いよ!私は推すよ!

椛沢:コラムで直輝は、一時期迷っていて、スランプに陥ったと書かれていましたね。

河合:確かに直輝は、国士舘戦では、ピッチで何をしているんだというくらいの出来だった。確かに走ってはいるし、ボールサイドにも行っているけれども、それが無駄走りになっていた。直輝の本来のプレーはそれではないだろうと思った。ボールをもらっても見えていない。本当にひどい出来だった。試合が終わってロッカルームに帰ってきた時の顔を見たら、苦しいんだ、辛いんだなと思った。本人が一番分かっていたんだと思う。その時は、起点になれず、ボールを奪い返しに行っても奪えない。パスを出してもそこに出すところなのかというパスになっていた。どんどん視野が狭くなっていた。その時に声を掛けたかったんだけど、声が掛けられないような雰囲気だった。身体は戻っている。良いプレーをしないといけない。試合に出るためにアピールをしないといけない。そうなるとミスをしちゃいけない。ミスを怖がるから、余計に身体が堅くなる。何をして良いか分からなくなる。たまに選手が陥ることがある悪循環だった。これは本人が踏ん張らないと終わってしまうと思っていて、他の日に練習を見たら、ちょっとずつ直輝の動きや、ボールに対する執着心が見えた。サッカーはミスした後が大事で、その後に奪い返しに行く。チャレンジするミスはミシャさんもOKなわけで、ミスを恐れるためのミスは許されない。練習から立ち止まってなるものかという意気込みを直輝から感じるようになってきた。これが見えれば、大丈夫だと思った。そして声をかけたんだよね。そうしたら、まだ6割、7割と言っていたけども、象徴的だったシーンがあって、槙野からボールを奪って、ペナルティエリアに侵入した時に、槙野もボールを奪い返しにいった。その時に直輝は練習着が破れてもボールを離さなかった。そして、槙野が食いついた時に那須さんも引っ張りだされて、そのスペースに直輝は冷静に落として、入り込んだ青木にこぼれ、最終的に李に渡ったシーンになった。直輝が良くなってきたと思ったら神戸戦から、サブに入ってきた。チームではボランチに入ることが多いんだけども、レッズのボランチはゴール前に出て行くボランチがいないから、自分が出たらそういう役割をしたいと思っていると行っていた。

椛沢:今は、ボランチで勝負をしているんですね。

河合:紅白戦ではボランチが多いね。川崎戦のあとは、シャドーの位置に入っていたけども。ボランチで、阿部ちゃん、青木、啓太を乗り越えるためには規律で守られていることプラスアルファ、自分の持ち味であるゴール前に顔を出すことが求められる。そして、それがチームの中でフィットしていけば必ずチャンスが来る。

椛沢:直輝はノーチャンスの選手になっているのではないかと思っていました。

河合:でもベンチに入れてもらっているから。良ければチャンスはある。ミシャさんはメンバーを固定しているというイメージが植え込まれているところがあると思うけども、練習で良かったりすると必ずチャンスが来る。それを物にしたのが、関根であり、宇賀神だよね。

椛沢:確かに、関根を見れば、使える選手を使うんだという当たり前のことをしているんだなと思いましたね。

河合:だから、ミシャさんがずっと言っているのは、疲れたから交代をさせても、それが交代のための交代ではいけない。交代した選手が同じレベル、力を発揮してくれないと意味が無いと。今はサブにも入れない選手達はもっとそこを考えてやってくれないと、底上げが出来ない。その中で、直輝は上がってきているよ。今季のこれまでの試合数を計算したら、ちょうど90分。今季は1試合しかやっていない。

椛沢:振り返ると、ミシャさん一年目の開幕スタメンなんですよね。

河合:それだけミシャさんは直輝の能力をかっている。怪我だとかコンディションの問題やメンタルの問題があって、ミシャさんの基準にはなかったということなんだと思う。

椛沢:原口が移籍した今、直輝が活躍をして欲しいと思います。

河合:サポーターみんなが期待をしていると思う。あとは、李がちょっと復調しつつある。思わず、川崎戦の前に、彼に言ってしまったんだよね。移籍した当初、コラムでとがったナイフだと評したけれども、その鋭さを今は感じられないと伝えた。そうしたら「絶対に点を獲ってやります。待っててください」と言っていた。だから、川崎戦のヘディングシュートの場面でも点を獲りたかったんだと思うね。

椛沢:李は、仙台戦あたりで点をとって、ここから上がるのかなと思ったら、なかなかコンディションも上がっていかなかった。海外から移籍をして来たから、フィジカル的に整わないのかなと思って、ワールドカップの2ヶ月の中断中で、復調をしてくるのかと思ったら、そうでもなかった印象があります。

河合:李をワントップで使ったほうが良いのか、シャドーで使ったほうが良いのか。そんな起用の部分でもはまっていないのかもしれない。

椛沢:それは新潟戦で、興梠が前半で怪我で李と交代をして、全く試合にならなかったということで、ある意味、はっきりしてしまった気がしますね。

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河合:でも川崎戦では、途中から入ってきて、興梠がシャドーに落ちたりしてもいる。もともと能力が高い選手だから、爆発してくれると思う。あとは、矢島慎也も出てこないと。彼こそシャドーで活躍しないといけない選手。

椛沢:矢島は、燻っている感じがしますよね。

河合:シャドーでは、梅ちゃんは絶対にシャドーを渡したくないと言っているからね。そのために良いプレーを出し続けると。川崎戦のゴールも素晴らしかったね。その中で、矢島は、アンダーでもどう成長して帰ってくるか。

椛沢:原口が抜けて、彼がドリブルをして流れを変えていたところがあるけれども、今はパス、パス、パスのリズムしかなくて、リズムが変わらない。

河合:梅ちゃんだって、ドリブルを持っているんだけどね。あそこでもっと勝負をしても良いと思う。大分時代の梅ちゃんは凄かった。レッズに来てからは、ドリブルの部分は、あまり見られないよね。サイドでは見せているけれども、シャドーの位置でもドリブルの突破力を見たい。

椛沢:ミシャさんはコンビネーションを求めているから、そうなるところはあるんでしょうけども、あの位置でのドリブルの突破力を見たいですね。

河合:コンビネーションの中でのドリブルは脅威だよね。求められていることプラスアルファが、そのうち出てくるんじゃないかな。これから累積、けが人が出た時に、新たな力が出てきて欲しい。まだ先は長い。去年崩れた終盤戦の秋だよ。秋までに規律プラス個性が生かせるようなものが夏に作れれば、良い。浦和は、補強をしなかったわけだからね。

椛沢:熟成をとったということなんでしょうね。

河合:シーズンはじめにはしっかりとした補強をしているわけだしね。

椛沢:原口を移籍することを見越して補強をしていたわけですからね。

河合:西川、青木、李を補強して、濱田が帰ってきた。ミシャさんも代理人を動かす補強をしたくないと。自分が必要だと思う選手で、必要なポジションに補強はしたと明言をしていた。西川も直にミシャさんが口説いて獲ったわけだからね。彼が欲しいと思って補強をしたわけだし、その成果は出ているよね。

椛沢:戦力的には良いと思うんですけど、期待感とかを発信するためには物足りないかなとは思いますよね。

河合:他所のチームを見ると外国人の点取りやがいて、そう見える部分はあるよね。

求められるクラブ愛

椛沢:レッズはどんどん悪い方向になっているような気がします。強化も守りに入ってクラブも守りに入っているから魅力が殺がれているような感じがする。

河合:犬飼さんのときのようにアジアを獲るんだと、選手を補強して、みんなが分かりやすいところに乗った所はあるね。今は地味かもしれないけどもコツコツと足を固めて、まずリーグ優勝をしてアジアに出てというバブルではない、しっかりとした土台をミシャサッカー3年目で、作ってやっていく流れなんじゃないかな。

椛沢:鹿島戦も39,000人しか来ていないですからね。

河合:そうだね.....もっとサポーターに来て欲しい。クラブ愛だよね。

椛沢:クラブ愛をクラブにもサポーターは感じていないのかもしれません。

河合:選手がメディアに出て興味を惹きつけてということもあるのかもしれないけども、浦和の土壌ではそうではないんだよね。弱い時代に、次は俺たちが絶対に勝たせてやるんだという思いで悔しい思いをしながら来ていたサポーターの文化があるわけじゃない。

椛沢:クラブ愛と地元愛ですよね。浦和のチームが弱いなんて、許せないんだという反骨精神があったと思うんですけど、今は浦和色も薄いし、クラブ愛も良く分からなくなると、それじゃあ良いのかなと思ってしまう。

河合:前はシーズンチケットを持っていないと、完売で手に入らなかった。だからシーズンチケットを手に入れている人がいた。人が減る中で、シーズンチケットを買わなくても当日、自分が行きたいときに手に入ると思ってシーズンチケットを手放して、無理して行かなくても良いかなという気分にもなるのかなあ。

椛沢:自分が行かなくちゃ行けないんだと思っていた人が、行かなくても良いのかと思い始めている。行かなきゃ行けないと思っていた人は自分だけじゃなくて、他の人も呼んできたわけですからね。

河合:そうだよね。私は今季男女ともアベック優勝をして欲しいと思っているんだけど、優勝が決まる時にスタジアムに6万人は入って欲しいと思う。みんなであの感動を味わいたい。今は旗がダメとか横断幕がダメとか太鼓がダメだという現状になっているからこそ、ひとりひとりが足を運んでみんなの声で勝たせて欲しい。夏場は選手も苦しい。でもみんなが後押ししてくれるから一歩が出る。あの神戸戦の那須さんの気迫をみた? 途中で試合を諦める姿勢を浦和は許したくない。どんな点差があっても奇跡を起こしたい。意地の1点を返してこいよと思う人が、いっぱい集まれば選手は走るさ。諦めないさ。

椛沢:そのように、クラブが思わせられてないと思います。

河合:それを全部クラブのせいにしたら先はないよ。もう一回サポーターが熱い思いをもってもらいたい。優勝が決まる時に6万人いなかったら嫌だよね。

椛沢:そうなると寂しいですよね。

河合:私は、元気の最後に言ったひと言が忘れられない。選手はみんな一緒に勝ちたい。一緒に闘っていると思っているよ。その選手の声に応えて欲しいんだよね。現場は現場で戦うんだよ。西川も本当に浦和を愛しているなと感じる。まだ来て半年くらいなのにね。

椛沢:優勝したら盛り上がるのかもしれないですね・・・。

河合:でも、優勝するために闘っているんだからさ。

椛沢:そう考えると、選手達はこの中でよく頑張ってますよね。

河合:自分たちが頑張って優勝すれば、という思いを背負っていると思うよ。だからみんな頑張ろうよ。

(2014年8月、さいたま市内にて)

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