浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「Fighting Spirit~阿部勇樹選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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サポーターの思いを受け止め、チームを引っ張るキャプテンの存在

「とにかく、1勝しなきゃ始まらないんだよ!」
「まず勝たなきゃだめなんだよ!俺たちやるからさぁ!だから一緒に闘ってよ!」

公式戦3連敗となったACL予選ブリスベン戦後、阿部勇樹選手の心の底から込み上がって来る叫び声が、埼玉スタジアムのゴール裏に響いた。

阿部選手は、普段は寡黙な男であり、極端な照れ屋である。その、阿部選手がゴール裏に向かって声を上げたのは、初めてのことであった。

だが、どんな時でも浦和を愛する人々のことを思っているのが、阿部選手なのだ。フィンケ監督時代に阿部選手は目に涙を溜めて跪き、ゴール裏に向かって手を合わせて「ごめん」と頭を下げたことが一度だけあった。最下位で14連敗中の大分にゲームを支配しながらも0-1で敗戦した時だ。

力の差から言えば、当然勝ってしかるべき試合であった。浦和は「連敗ストッパー」などと汚名を着せられた。その当時「あんなに応援してもらっているのに、その気持ちに応えられなくって・・・。本当に申し訳なくって・・・情けない」と阿部選手は言っていたのだ。

どんな試合でも、誰だって勝ちたいと思う。負けて良いと思う試合なんて1試合も存在しない。だから、選手もサポーターも必死に勝利を目指して闘う。だが、「勝ちたい」と思う気持ちが「勝たないといけない」とプレッシャーに変わってしまうと、つまらないミスが起きたり、消極的になったりしてしまう。特に、消極的なプレーは闘う気持ちが応援している側には伝わって来ない。試合の状況にもよるが、相手にリードされている展開の中で、ミスを恐れてチャレンジしなかったり、タッチラインを割ろうとしているボールを諦めてしまったり、笛がなる前にプレーを止めてしまったりすると「何で諦めるの?」「何で止めるの?」と応援している側はイライラしてくる。それが、だんだんと増幅されて「走れよ!」「諦めんなよ!」「やる気あるのか!」と言葉が荒い口調へと変わってしまう。浦和を愛するが故のことである。

逆に、闘う気持ちが全面に出ていて必死さが伝わってくるプレーの中で起きたミスならば「次だよ!切り替えて行こう!」と前向きな応援が出来る。闘う気持ちが、応援する側に伝わってきて敗戦したのであれば、ブーイングも野次も飛ばない。当然、試合中でも気持ちが伝わって来なければブーイングも野次も起きる。ブーイングに対してプレーをしている選手側からすると「俺たちは、必死に闘っているのに・・・」と思う気持ちが当然ある。応援する側とされる側の温度差は否めない。応援する側だって、愛するクラブの愛するチームの選手たちへのブーイングは心が痛む。心が痛みながらも叱咤する思いが込められている。浦和に移籍してきた選手たちには、ブーイングや野次に対して理解に苦しむ選手たちが多い。

だが、阿部選手は違っていた。浦和を愛する人々の気持ちを真摯に受け止め、向き合って来たのだ。だからこそ、ブリスベン戦後の阿部選手の叫びは「このままでは、選手とサポーターの間に溝が出来てしまいバラバラになってしまう」という危機感があったのではないだろうか?!

試合後、阿部選手は「ブーイングを受けるのは、当然だと思っている。勝てなかったことは、本当に悔しい。でも、それが僕らだけでなく、来て下さった方も同じぐらい悔しいと言うことが、改めて分かった」と話していたのだ。

試合中の阿部選手は、気合が入ったプレーでチームを牽引するタイプだ。「俺の背中を見て、着いて来い」と言わんばかりに、闘志が漲る。相手に倒されても、一瞬顔を歪めるぐらいですぐに立ち上がる。しかし、Jリーグ開幕戦となった湘南戦では、物凄い形相で仲間を叱咤し、檄を飛ばしてチームを牽引した。「絶対に勝つ!」と言う阿部選手の気持ちが、一緒にピッチで闘っている選手たちに伝わって来た。

宇賀神友弥選手は「阿部ちゃん、物凄い顔でピッチでどなり散らしていた。阿部ちゃんに怒鳴られなくても、常にやらないといけない」と身を引き締めていた。阿部選手の勝利へ気迫が、浦和を逆転勝利へと導いたのだ。

湘南戦後、阿部選手は「まず、1つ勝つことが大事だと思っていました。しっかりと逆転できたことは良かった。走り負けないこと、チャレンジしてミスすることは悪いことではないから、次のプレーへの切り替えが大事だ。みんな、気持ちの籠ったプレーを見せられたと思う」と安堵の表情を浮かべた。

そして、すぐに「次の山形に勝つため、全力を尽くさないといけない。そういったプレーを見るために、大勢のサポーターが観に来てくれる。しっかりとやっていきたい」と話した。湘南戦の1勝で全てが終わった訳じゃない。気持ちの籠ったプレーが湘南戦のだけでは、全く意味を成さないものになってしまう。ホームで行なわれる次の山形戦で、その真価が問われることを阿部選手は、分かっていた。

阿部選手のFighting Spiritは、浦和で闘う男たちの胸に刻まれているはずだ。Fighting Spiritで歓喜を呼び起こせ!

Q. 脈が遅くなるのとは逆に、緊張してドキドキしたり、脈が速くなるのはなぜですか?

A. ドキドキするのは、多くは頻脈です。交感神経が刺激され、緊張してアドレナリンがでることで頻脈になります。そのほかにも「トン、トトトン、トン」とか「トトトン、 トトトン、トン」など脈のリズムが一定でなくなるときにもドキドキします。これが不整脈です。不整脈には、いろんな形があります。心臓の中には、電気の通り道が沢山あります。電気の通り道が、何処かで障害されているかで、不整脈の形が違ってきます。電気の通り道が悪くて、スポーツをすることで頻発する心房性期外収縮や心室性期外収縮があります。これらの期外収縮が頻発すると危険でスポーツに支障を生じます。その場合は、アブレーション手術と言って、不整脈が出る場所の筋肉を焼く手術があります 。他にも心房細動や心室細動などが重積すると致命的になることがあります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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