河合貴子のレッズ魂ここにあり!「革命の風~柏木陽介選手」
J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
柏木選手の革命の風が、浦和の新たな背番号10番の歴史を刻む
ミシャ監督体制になり、今シーズンで5年目に突入した。J2降格の危機に晒された浦和をミシャ監督の手腕で立て直し、優勝争いに名乗りを上げるチームに育てあげたことは言うまでもない事実である。だが、ミシャ体制になり優勝の栄光を手に入れる後一歩のところで、目の前から栄光が陽炎のように消えて行くのも事実である。
フットボールが文化として昔から根づいて居る浦和にとって「サッカー王国」のプライドがある。「PRIDE OF URAWA」の名に掛けてタイトル奪還は悲願だ!
優勝争いだけでは何も得るものは無く、残るのは虚しさや悲しさ、憤りだけであることをここ数年実感して来た。手に入れたいものはアジアチャンピオンであり、リーグ年間優勝だ。
ミシャ監督体制の浦和のフットボールは熟練されてきているが、対戦チームは更なる策を練って浦和を倒しに掛かってくることは分かっている。その上を行く為には、何かを浦和は変えていかなくてはならない。
同じことをやっていても、同じことの繰り返しになる。そんな状況を打破し浦和に変化をもたらしたい思いで柏木陽介選手が革命児となり立ち上がった。柏木選手が広島から移籍して来て7年目となった今シーズン、慣れ親しんだ背番号8番から背番号10番へと変えたのだ。
「浦和に来て2年目、ロビー(ロブソン・ポンテ選手)が辞めて背番号10番が空いたけどどうかと言われたが、断った。昨年も断った。自分にとって8番に拘りがあった。何かに変化を与えたいと思って10番にした」と柏木選手は背番号10番を今シーズン背負って闘う経緯を話した。
そして、柏木選手は「昨シーズンは、結果が出なかった。良かったシーズンとは言えない。凄く失速した訳ではないが、勝負強さが足りなかった。そこが、何かは分からない。その何かを埋めていかないといけない。規律や遣らなきゃいけないことを遣って努力していく」と昨シーズンを振り返り話していた。
柏木選手が背番号を10番に変えることで浦和のフットボールが変わる訳ではないし、確実にタイトルが獲れる訳ではない。だが、背番号10番を付けると言うことは、浦和を優勝へと牽引する覚悟の現れであった。そもそもフットボールにおける背番号10番は、チームの中心選手を意味し正確なキックやパスセンスでゲームをコントロールする司令塔であり、またゴール感覚も兼ね備えている選手である。
浦和の背番号10番と言えば、福田正博選手を得点王に導いたキラーパスのウーベ・バイン選手を初め、浦和史上日本人初の10番となった福永泰選手、小野伸二選手とコンビを組んで華麗なパスで魅了したチキことベキリスタイン選手。浦和の苦しい時代を支えたアドリアーノ選手。ゴールハンターのエメルソン選手。そして浦和を優勝へと導いたロブソン・ポンテ選手と続き、2014年のマルシオ・リシャルデス選手で途絶えていた。
名前を連ねるだけでも浦和の歴代10番は、その時代時代に浦和を背負い誠心誠意闘って来た偉大な選手ばかりであった。並大抵の覚悟では、浦和の背番号10番を背負うことは出来ない。
柏木選手は「10番に対しては、特別な意識はない」と話しながらも「それぞれのチームでは、特別な思いがあると思う。俺らしくやれば良いと思う」と照れ笑いしていたが、浦和の背番号10番には、計り知れない責任と使命があることを柏木選手は知っていた。だから、今まで柏木選手は背番号10番を背負うことを断り続けて来たのだ。
だが、機は熟した。何かを変えなければ、何も得られない。断り続けて来た背番号10番を背負う覚悟を柏木選手は決めたのだ。柏木選手は背番号10番の新しいユニホームを身に付けると引き締まった表情を浮かべ「ACLに勝ちたい。獲れるタイトルは全部獲る。クラブワールドカップを観て、出たいと思った。思い、夢、希望を届けないと羽ばたけない。この気持ちをピッチで表現したい。10番らしいプレーをして楽しんで、それが良い結果に繋がるようにしたい。サッカーを楽しむ。それが、自分の良さ、チームの良さに繋がる。自分を信じ、チームを信じ、レッズを信じて行けば良い」と目を輝かせた。
「何かに変化を与えたい」柏木選手の思いは、背番号10番を付けることで自分自身の意識の改革にまずは取り組んだのだ。背番号10番を付けた柏木選手が、浦和のフットボールの中心にいる存在感を示し、浦和が優勝するために足りなかった何かを動かしてくれる旋風になっていくと感じた。意識の改革は、革命の風となり浦和を優勝の栄光へと導いて行くだろう。そして、柏木選手の革命の風が、浦和の新たな背番号10番の歴史を刻む。
A.疲労回復には、食事・入浴・睡眠が3大要素です。シャワーだけではダメです。しっかりと入浴をして疲れをとります。3大要素で1日の疲れをしっかりと取って、また運動することと疲労回復を繰り返していくと、今まで以上に回復してパフォーマンスが上がる超回復になっていきます。例えば、最初のパフォーマンスを100とすると運動による疲労でパフォーマンスが80に低下します。回復することで100に戻ります。しかし、使った筋肉はトレーニングにより徐々に増えて行くので、運動と回復の繰り返しでパフォーマンスが120へと上がって行くのです。回復をしないで運動をし過ぎるとオーバートレーニングとなりパフォーマンスが落ちてしまいます。
川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/