【河合貴子の試合レビュー】プレナスなでしこリーグ1部・第2節 vsアルビレックス新潟レディース<吉良、栗島、塩越、長船コメントあり>(2016/4/3)
今日のポイント!!「上尾野辺選手の鋭い読みとゲームコントロールに敗戦を喫する」
新潟のブロックを作りボールサイドにスライドする守備は、凄く組織的で浦和に自由に展開させなかった。日テレ戦で見せた浦和の前からプレスを掛けて嵌め込み、相手陣内でボールを奪う守備は、新潟には上手く行かなかったが最終ラインで身体を張ったプレーで阻止していた。
吉田監督は「日テレは、ボールを動かすのでコンタクトしやすかったが、新潟はプレスを掛けると蹴って来るので嵌まらないと思っていた。守備が甘かったわけではない。大きく崩れたのは、2点目ぐらいだ。ちょっとしたところで勝負を分ける。相手の得意のセットプレーでやれた」と話した。
セットプレーを含めて、攻守に渡り試合の流れを作る活躍を魅せていたのは、上尾野辺めぐみ選手であった。上尾野辺選手がピッチの中で声を出し、新潟の選手を統率していた。上尾野辺選手の活躍はそれだけではない。1点を追いかける浦和は、79分に猶本光選手のスルーパスを受けた柴田華絵選手のシュートチャンスの芽を摘んだのも上尾野辺選手であった。
スキルの高いテクニック、ベテランの鋭い読みとゲームコントロールに浦和は敗戦を喫した。
ホーム開幕新潟戦、白星飾れずに惜敗
満開の桜がなでしこリーグホーム開幕戦に花を添え、浦和駒場スタジアムに新潟を迎えた。開幕戦を昨年の女王日テレと1-1の痛み分けに終わったが、手応えは十分にあった。その流れをくんで、ホーム開幕・新潟戦のスターティングは日テレ戦と同じメンバーであった。
浦和のキックオフで始まった試合は、浦和が立ち上がりから激しく前からプレスを掛けて行くが、新潟も負けずにブロックを作りボールサイドにスライドしながら激しいプレスを掛け、お互い譲らない展開となった。
最初にチャンスを作ったのは、浦和であった。10分、相手陣内で栗島朱里選手が後藤三知選手と挟み込むようにボールを奪って素早く吉良知夏選手へ、吉良選手がシュートを放つも決められなかったがCKを獲得。筏井りさ選手の右CKのこぼれ球を栗島選手がミドルシュートを放つも枠を捉えることが出来なかった。
14分には、浦和陣内で横パスを久保田麻友選手に奪われてドリブルシュートを撃たれるが、ここは池田咲紀子選手がファインセーブを見せてゴールを死守した。
拮抗した流れの中で思うような攻撃の組み立てが出来ない展開の中で吉田監督から「サイドを変えろ!!」と檄が飛んでいた。新潟がボールサイドにスライドする守備を上手く利用して、ボールサイドに寄せた逆サイドのスペースを有効的に使う攻めを要求したのだ。
すると、22分には猶本光選手から乗松瑠華選手へと絶妙なタイミングで展開し、乗松選手がクロスを送るも飛び込んだ吉良選手とはわずかに合わなかった。
吉良選手は「なかなかタイミングが合わず、遅れてしまった。前半は、チャンスを作れていたが決めきらないとこういう展開になる。ベンチからはDFの裏を取れと言われていた。光(猶本選手)も朱里(栗島選手)もパスを出してくれた。個人的な問題で決めきれなかった」と悔しさを滲ませていた。
栗島選手は「ボールを保持している時に、ボランチを上手く使いながら動かしてサイドチェンジをしたかったが、出来なかった。雨上がりでピッチも滑ったし、慌ててしまって周りが見えていなかった。相手のプレッシャーを余計感じてしまった」と効果的なサイドチェンジが出来ずにいた。
新潟の辛島啓珠監督は「前半、ピンチもあったが上手く凌いだ。浦和のサイドからのクロスを気を付けた中で、中のクロスの対応が良かった」とニヤリと笑った。
35分には、山田選手が思いっきりの良いミドルシュートを放つがクロスバーに直撃!お互い決定的なチャンスを生かせずに前半0-0で折り返した。
後半、立ち上がりから主導権を握って行ったのは新潟であった。DFラインを高めに設定してコンパクトにしてブロックを作り、奪ってから上尾野辺選手を中心に攻守の切り替えを早くゲームを支配していった。
58分、押し込まれた浦和の打開策として吉田監督は「日テレ戦の動きが良かったので使った」。筏井選手に代えて塩越柚歩選手を投入し、試合の流れを変えようと試みた。
塩越選手は「あまり良い流れでは無かったので、流れを変えるつもりで入った。ユース時代から憧れていた舞台だった。運動量を要求されていたが、スピードや攻守の切り替えがまだまだだった。前回(日テレ戦)よりも勢いを持って入れなかった。相手のペースに飲まれてしまい。セカンドも拾われてしまった。何も出来なかった」と下を向いた。
流れを引き戻すことが出来ない浦和は、64分に右のバイタルエリアでFKを与えてしまった。FKのキッカーをつとめた上尾野辺選手がゴール前へと鋭いボールを送り、左山選手が上手く合わせるも浦和のDF陣も踏ん張り、一端はクリアーするもゴール前の混戦から大石選手に押し込まれ、池田選手の手を掠めてゴールへと吸い込まれてしまった。
長船加奈選手は「新潟のセットプレーは警戒していた。セットプレーで点を獲られるともったいない」と失点を悔やみ「流れで点が獲れる感じがしなかった。セットプレーでこっちも点が獲れれば楽だった。もう少し早いタイミングでサイドチェンジが出来たら相手の守備を揺さぶることが出来た。それか、ブロックを相手が作る前に運べたら良かった。狭いエリアでゴリゴリと行き過ぎた」と反省していた。
先制点を奪われた浦和は、67分に栗島選手に代えて長野風花選手、72分に後藤選手に代えて白木星選手をピッチへと送り反撃体制を整えていった。しかし、82分に渡辺選手のアーリークロスを大石選手が右サイドをオーバーラップしてきた小島選手へと流し、小島選手がドリブルでエリア内へと切れ込みシュートを放って来た。
小島選手のドリブルシュートを止めようと高畑志帆選手と池田選手が飛び込むが、運悪く高畑選手に当たり無人のゴールへと吸い込まれて2失点目を献上することになってしまった。
浦和は、最後まで諦めずに闘う姿勢を貫いて、89分CKから長船選手が、90分には白木選手が新潟ゴールに襲い掛かるもゴールネットを揺らすことが出来ずに0-2で試合終了。ホーム開幕を白星で飾れずに新潟に惜敗してしまった。