浦和フットボール通信

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<ハイライト動画付>【河合貴子の試合レビュー】明治安田生命Jリーグ 1stステージ第10節vs大宮アルディージャ<柏木、槙野、宇賀神、西川、遠藤、青木コメントあり>(2016/5/9)

今日のポイント!

ACLとリーグの厳しい日程を見事に闘い抜いた柏木陽介選手は、攻守に渡りピッチで輝いていた。だが、チームは攻撃の組み立てで攻守の切り替えも遅く、動きが重く感じられた。もっとボールをポゼッションしながらダイレクトパスで心地良いリズムの中で浦和らしくシュートまで持って行きたかった。

ミシャ監督は記者会見の開口一番に「我々のチームの出来に不満を持っている。本来の狙いとしたことが出来ていない。前半、相手に1~2回決定的なチャンスを与えてしまった。17番の選手がどっちつかずのポジションを取る中で、サイドバック19番の選手が武藤につ
いていた。そこの所でもう少し左サイドのスペースを突けたと思う。何回か宇賀神選手がクロスを上げる場面があったが、本来であればペナルティーエリアの中に入ってシュートを撃てる場面が作れたのではないか!?そこを上手く使いたかった。関根を宇賀神のサイドから相手のブロックを崩していく部分に関して、本来のレッズの闘い方であればもう少し得点機会の場面が作れておかしくなかった」と口調に怒気が混ざっていた。

だが「もう少し私自身も関根を左に持っていくバリエーションをしていれば崩せたかもしれない。それに気づくのが、私自身遅かったかも知れない」と自責の念を口にしていた。

柏木選手は「チームの出来は、今ひとつ。やり辛さはあったが、中途半端な位置で掴み辛かった。ボールの奪われ方も悪いし、バイタルに入ってもフリックは奪われるし、クロスの精度も悪かった。悪い時間でも前半にゴールを決められた。今日は、コンビネーションが、今ひとつ。もっと良いパス、決定的なパス、守備を固められている中でも、ここに出すかって言うパスを1試合に1回出したい」と大宮に勝ったが、納得のいくゲームではなかった。

本当に試合の内容は良くなかった。チームを勝利に導く柏木選手の右足シュートは素晴らしかった。この1点をトリプルボランチにしてゲームを締めたことも評価したい。悪い中でも無失点に抑えて、大宮に勝てた。たかが1勝!されど1勝!プライドをかけたダービーを征したことを噛み締めて、次節新潟戦までにコンディションを整え修正を図りたいところだ。

勝ち切った、さいたまダービー

氷川神社の参道は、赤とオレンジが入り交じり2シーズンぶりのさいたまダービーに両チームのファン・サポーターの思いがぶつかり合っていた。勝利にこだわる真剣勝負にNACK5スタジアムは揺れていた。

大宮のスターティングメンバーをみると得点力があるムルジャ選手やペチュニック選手などがベンチに控え、暑さを考慮して後半に勝負する狙いを感じた。

浦和のキックオフで始まった試合は、大宮は前線から激しいプレスを掛けて来た。槙野智章選手は「試合前にメンバー表を見て、前からプレスを掛けてくる布陣だと分かった。大宮が前からプレスに来てやりやすくなると思ったが、相手を剥がす動きが出来なかった。前半、自分たちのサッカーが出来ずに危ないシーンがあった」と悔しそうに話していた。

浦和は、ボールを保持するも攻撃の組み立てが上手く行かずに苦戦を強いられることとなってしまった。逆に大宮は、奪ってからの攻守の切り替えが早く、カウンターを狙って来た。

7分、家長昭博選手からパスを受けた泉澤仁選手がドリブルで切れ込みシュートを放って来た。だが、シュートを読んだ浦和のDF陣が一歩早く、身体を張ってシュートブロックをしていった。

15分にもカウンターから家長選手のDFの裏に抜け出してチャンスを作るが、選択したパスを槙野選手がクリアーと大宮のカウンターの脅威にさらされてしまった。

リスクを負って攻撃を仕掛ける浦和は、20分には宇賀神友弥選手のクロスに興梠慎三選手が飛び込むとわずかに合わずにいた。

宇賀神選手は「相手が思ったよりも前から来ていたが、しっかりとパスを繋ごうという意図の中で、縦パスを引っかけられてカウンターで危ないシーンが多かった。相手の気迫を感じて前半、バタついてしまった。僕のところでチャンスが3回ほどがあったが・・・。攻め急いでしまった」と話した。

決定的なチャンスを最初に作ったのは、大宮であった。24分、家長選手がカウンターから放ったドリブルシュートが左ポストに直撃!!そのこぼれ球を拾われて厚みのある攻撃を見せる大宮の和田拓也選手のシュートはゴール上と外れていった。

西川周作選手は「良い入りが出来たが、我慢の時間が長かった。でも気持ち的に余裕を持ちました。シュートは入らないと思ったが、セカンドが恐かった。上手く流れてくれた」と安堵の表情を浮かべて話した。

遠藤航選手は「リスクマネジメントを意識してやっていた。家長と江坂を誰が行くか、曖昧だった。切り替えも早く、カウンターを受けてしまった」とはっきりとした守備が出来ていなかった。

浦和らしいコンビネーションも攻撃のリズムも生まれ無い中で、前半終了間際の44分、興梠選手が倒され早めのリスタートを掛けてところを、奪われたボールを柏木選手が奪い返して素早く武藤雄樹選手へ、武藤選手のリターンに柏木選手がダイレクトで右足を振り抜きシュートを放った。

回転が掛かったボールは弧を描くように加藤順大選手の頭上を越えてゴールへと吸い込まれていった。

柏木選手は「シュートと言うよりもそれまでの過程が良かった。思ったようなところに転がってきた。丁度良いバウンドで、走る方向をギリギリ変えた。一回、武藤の方に行きかけたんだけどね。冷静だったし、イメージ以上だった。ノブ(加藤選手)は背が高い選手ではないし、前に出て来ていたから入ってくれっと願った」と気持ちで決めたゴールであった。

前半、攻撃のリズムが掴めない浦和ではあったが、1-0で折り返した。

1点リードで迎えた後半は、少し攻撃に落ち着きを取り戻して主導権を握っていった。

西川選手は「前半、前に残っている選手にマークがしっかり付けていなかったので、ハーフタイムにもっとタイトに行こうと話した。相手の前線の選手に前を向かさず、退いて2対1のシーンを作った。相手よりもハードワークが出来た」とハーフタイムに守備修正をしていた。

流れが浦和に傾き始めると、大宮は温存していたムルジャ選手を62分に投入。しかし、流れは変わらず、逆に浦和のショートカウンターから李忠成選手がヘディングシュートで大宮のゴールへと襲い掛かった。

浦和は、追加点を狙って73分に宇賀神選手に代えて梅崎司選手を、75分に武藤選手に代えてズラタン選手を投入し攻撃の活性化を試みた。

大宮も73分に疲れが見え始めた江坂選手に代えてペチュニック選手を投入し、更に80分に横谷繁選手に代えてマテウス選手を入れ高さとテクニックで打開しようとしてきた。

すると浦和は、興梠選手に代えて青木拓矢選手を投入し、トリプルボランチへとシステム変更をして中盤を厚くして大宮の攻撃を封じ込めにいった。

遠藤選手は「セカンドの意識を持って、3ボランチで拾えた。相手も落ちてきてボールを動かせる時間もあったが、途中から出て来てもしっかりとゲームに入れるのが浦和だ」と青木選手のことを褒めていた。

青木選手は「前半は、大宮に前から来られて苦戦した感じだった。ボランチを3枚にして、セカンドも拾えるしゲームを締める意味もあった。ポジションの切り替えだったり、攻守の切り替えを意識した。前半に1点獲れてよかったよ。大宮は、前半は0-0狙いで、後半に3人の外国人選手を入れて勝負だった。苦しみましたけど、この勝ちはデカい!」と嬉しそうに笑った。

反撃の狼煙を上げたかった大宮であったが、後半に大宮が放ったシュートは0本。見事に大宮の反撃を封じ込め、苦しいながらも1-0でさいたまダービーを浦和が征した。

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