浦和フットボール通信

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【レッズレディース試合レビュー】2016プレナスなでしこリーグ1部 第11節vs AC長野パルセイロ・レディース<筏井、平尾、高畑、長船、山守、吉田監督コメントあり>

Report by 河合貴子

最下位脱出ならず

梅雨入りしたように少し蒸し暑さを感じる5月28日。第10節を終えた現在、首位を走る日テレは勝ち点23である。それを追従するようにINAC神戸、ベガルタ仙台、AC長野パルセイロ・レディースと勝ち点19で並び得失点差で長野が4位である。浦和レッズレディースは、2勝1分け勝ち点7で最下位と厳しい状況におかれている。

初のなでしこ1部リーグでも健闘している長野をホーム浦和駒場スタジアムに迎えた。長野には、元浦和選手だったキャプテンマークを付けるDF坂本理保選手を中心に、トップ下にはMF斉藤あかね選手、ツートップの一角をFW泊志穂選手がスターティングメンバーに名を連ね初の古巣対決となった。

浦和は、前節の新潟戦に0-1で敗戦を喫したものの3DFにシステムチェンジが機能したことを受けて、トップ下に柴田華絵選手を起用した3-5-2と攻撃的な姿勢で挑んだ。

浦和のキックオフで始まった試合は、立ち上がりからサイドの数的優位を利用して浦和が攻め込んで行った。

2分、北川ひかる選手のクロスにゴール中央で吉良知夏選手が狙うも合わず、ファーサイドで合わせた柴田選手のシュートは枠を捉えることが出来なかった。

吉田靖監督は「ツートップに横山がいるので、厳しく対応するためにDFを1枚増やした。3-5-2で中央を押えて、サイドを高く取った。ワイドから良い形で作れた」とゲームの入り方には手応えを感じていた。

しかし、10分を過ぎると徐々に流れは長野のペースへと変わっていった。筏井りさ選手は「サイドの仕掛けが上手く行って、前に差し込めた。だが、相手のトップにボールが、セカンドを拾われ、相手の反応も早く相手のペースになってしまった」と話した。長野に押し込まれるとDFラインも下がり気味になり、ボールをインターセプトしてもなかなか展開するのが難しい状況になってしまった。

19分、相手のプレスを避けるように長船加奈選手からパスを受けた高畑志帆選手が、攻撃の組み立てを試みるも横山久美選手にボールを奪われ、そのまま横山選手のドリブルシュートが決まり、長野に先制点を許してしまった。

横山選手と1対1となった平尾知佳選手は「YOUTUBEで久美さん(横山選手)のシュートシーンを見て、左に来ていたし左に来ると思った。そしたら、右に来ていた。さすが、なでしこに(日本代表)入る選手は上手い。裏の裏をかけるように、勝負していきたい」と悔しそうに話しながら、駆け引きでは横山選手が一枚上手だった。

高畑選手は、俯きがちに「失点をしてしまったことは、反省すべきだ。チームとしてやってはいけないプレーだった。先制点を獲りに行くことを意識して臨んだ。横パスが入った時点で、逆に仕掛けようと思ったら、泊が逆側に来たので前に運んだ(ドリブル)が、運びが大きくてあぁ言う状況になってしまった。思いっ切り裏(長野のDFラインの裏)に蹴るか、FWを使ったら良かった」と失点シーンを振り返り悔しさを滲ませていた。

長野は、先制して更に勢いが増し前線から激しくプレスを掛けて主導権を握っていった。浦和は、前線と距離が空きパスコースも長野に読まれやすい状態に陥ってしまった。

長船選手は「相手に上手く対応されて数的優位が作れず、サイドチェンジも出来ずに同サイドになったり、共通意識が出来ずに開いてしまい。逆サイドに持って行けずに拾われてカウンターを食らうシーンがあった」と話した。

浦和は、攻撃のリズムを作ることが出来ないまま0-1で前半を折り返した。

何としてでもホームで勝利を収めたい浦和は、本来の4-4-2のシステムへと戻し打開策を講じて来たのだ。しかし、ボールを保持するものの、なかなかシュートまで持ち込めない展開となった。

そこで、56分に白木星選手に代えて5月の初めに左足の怪我で離脱していた山守杏奈選手を投入し攻撃の活性化を図っていった。すると、攻撃のスイッチが入り、山守選手からDFの裏を狙う推進力が生まれて来た。

山守選手は「負けてても、勝ってても出たら点を獲るイメージだった。ファーストタッチだったし、あそこで決めていたら流れが変わった。でも、前を向いてドリブルシュートが自分の一番のベストな形が作れなかった。流れが少し変わって良かったと思う」と怪我明けの復帰戦に手応えを感じていた。

57分、乗松瑠華選手の縦パスを受けて右サイドに抜け出した山守選手のクロスに塩越柚歩選手が合わすもオフサイド。63分にも山守選手からスルーパスが出るも相手GKに読まれてしまい、カウンターから山守選手がシュートを放つもゴールネットを揺らすことが出来なかった。

浦和が主導権を握るが攻め切れない展開に、77分には吉良選手に代えて臼井理恵選手を投入。北川選手をFWに上げ、臼井選手を左サイドバックに起用していった。臼井選手も積極的にオーバーラップしてサイドから仕掛けていくが、ゴールネットを揺らすシュートまで結びつくことが出来なかった。

最後まで攻め続ける姿勢は魅せたものの、決定機が作れずに0-1で長野に勝利することが出来ずに最下位脱出を果たせなかった。しかし、最後の笛が鳴るまで諦めずに走り続けた浦和の選手たちに、激励の惜しみない拍手が送られた。

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