浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「浦和前線炎上中!」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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9人がしのぎを削るのが、浦和の前線だ

やっと長い梅雨が明け、本格的な暑い夏がやって来た。8月になりリオデジャネイロオリンピック開幕が楽しみだ。日本の夏と同様に熱き闘いが待っている。

だが、浦和では夏が来る前から、熱かった。リオデジャネイロオリンピックサッカー日本代表に興梠慎三選手が招集されてから、練習中はもちろんピッチで熱きポジション争いが繰り広げられている。

良く選手たちは怪我で離脱したり、累積で出場停止などでスターティングメンバーが代わっても「誰が、試合に出ても同じだ。やることは、変わらないし遜色ない。問題ない」と話している。そのぐらい、浦和の選手の層は厚く、総合力がある。

だが、実際のところスターティングイレブンに入るのは、簡単なことではない。チームの規律、戦術理解が出来ていても、味方のコンビネーションやコンディションの問題が出て来る。そして、選手個々が持っている個人の得意なプレーも重要になってくる。

興梠選手が務めてきたワントップを巡り、「僕はもともとFWだ!今、戻って来た感じがする。ワントップで試合にでたい」と一番最初に名乗りを上げたのは、李忠成選手であった。

「慎三(興梠選手)は、ワントップのポジションから落ちて(下がって)ボールをキープして攻撃の起点になり、ボールを収めることが出来る。前線から身体を張った守備をして、運動量もあって、高さもあって、周りの選手を生かすフリーランニングが自分の持ち味だ」と話していた。

シャドーの一角からDF裏に飛び出したり、オフザボールの動きで黒子に徹して試合出場が多い李選手であったが、ストライカーの意地を見せていた。

ワントップのポジションを狙っているズラタン選手は「僕は、慎三と同じタイプではない。良い意味で違った要素を求められている。自分の強みは、ボールキープだ。守備面でも助けていきたいし、献身的にやってチームを助けたい。一番大事なのは、勝ち点3で、その次が自分のゴール」と献身的な姿勢を見せていたが、練習からゴールに貪欲に迫っていたのだ。

鹿島戦のワントップの座を射止めたのは、ズラタン選手であった。だが、思うようにボールが収まらずに苦戦した。結果を出すことが出来ずに後半からズラタン選手に代わって出場した李選手は「スタメンから出たかった」とその悔しを原動力にして結果を出した。

鹿島スタジアムからバスに乗るズラタン選手は「難しさを感じた。監督が求めていることをやろうとしたが、前線でのコンビネーションが合わず前でボールを収めることが出来なかった。上手くいかないから色んなことを試して変化をつけて得点に結びつけたかった。でも、チームの底地からを魅せてくれて勝てて良かった」と安堵した表情を浮かべながらも自分のプレーに満足出来ずに悔しさを滲ませていた。

シャドーの一角を務めていた李選手がワントップに入ることで、ワイドを含めて浦和のポジション争いが激しさを増した。鹿島戦では、高木俊幸選手がシャドウの一角を務め、出場停止と宇賀神友弥選手に代えて関根貴大選手を右ワイドから左ワイドへ、梅崎司選手を右ワイドで起用した。

だが、高木選手に代わって途中出場した石原直樹選手の動きが良かったと評価したミシャ監督は、甲府戦に向けてシャドーの一角を石原直樹選手でミニゲームをスタートさせた。

スタメン組が外された高木選手は、ミニゲームで軽やかな動きを見せると、ミシャ監督は水分補給の休憩を挟んですぐに高木選手をスタメン組へと起用した。

また、出場停止明けの宇賀神選手はサブ組になり、鹿島戦の流れをくんで左ワイドは関根選手、右ワイドは梅崎選手が任されていた。

だが、サブ組となった宇賀神選手は、ミニゲームで球際に激しい守備から攻守の切り替え早く、高木選手との縦関係を築くコンビネーションを魅せていた。

そして、練習のミニゲームで良い動きを魅せていた高木選手と宇賀神選手が、甲府戦のスタメンを飾り、見事な活躍を魅せてチームを勝利へと導いた。

甲府戦、勝利を告げる笛が高らかに鳴ると、高木選手はピッチに大の字になり充実感と喜びを噛み締めていた。「気持ち良かった!」約1年ぶりにリーグ戦フル出場を果たした高木選手は話した。忘れかけていた至福の時を噛み締めた高木選手は、自信に溢れてこのポジションを手放さないだろう。

だが、シャドーもワイドも出来る梅崎選手も石原選手も駒井善成選手も黙ってはいない。カットインするドリブルの仕掛けやクロスの精度、ゴール前へと飛び込む動きの鬼気迫る鋭さを魅せている。
ミシャ監督は「相手がどう闘うかで変わる。どういう組み合わせで闘うのか、試合を観れば分かる」と選手起用に関して濁した。

対戦相手の分析によって、後半勝負を掛けるためにスタメンから外して選手を起用することもある。コンディションも良く、試合に向けての準備段階のミニゲームでコンビネーションも良く攻守に渡って良い選手を起用していくこともある。

全ては、勝つためのスターティングイレブンであり、勝つための選手起用だ。規律、戦術理解、球際に厳しく、走るなどの基本が出来ているのは、プロとして当たり前のことである。

あとは、チームが勝つために何がピッチで出来るかだ。スタメンに定着している武藤雄樹選手だって、外される危機感を常に持っている。

浦和のワイドを含めて、李選手、ズラタン選手、武藤選手、高木選手、石原選手、梅崎選手、関根選手、宇賀神選手、駒井選手。他のチームだったら、スタメンに定着しているスキルの高い選手ばかりだ。

練習、試合で結果を求めてしのぎを削るポジション争いは、チーム力の底上げに繋がり更に強くなる。9人がしのぎを削るのが、浦和の前線だ。

今、どこよりも熱く浦和前線炎上中である。


川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

川久保整形外科

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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