河合貴子のレッズ魂ここにあり!「キャプテンマークよりも大事な事」(9/16)
J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
キャプテンマークよりも大事な事
必ずサッカーの試合では、キャプテンマークを腕に付けたゲームキャプテンがいる。その選手が交代でピッチを後にする時は、チームメイトの一人にキャプテンマークを託す。6月18日埼スタで行なわれたエスパルス戦で、初めは小野伸二選手がキャプテンマークを付けていたが、小野選手はそれを高原直泰選手に託し、高原選手は、永井雄一郎選手へとエスパルスのキャプテンマークは元レッズの選手達が付けてレッズ戦を戦った。そこには、「元所属していたレッズには絶対に負けたくない」と言うキャプテンマークに託された思いがあるように感じてしまった。
9月14日埼玉スタジアムで行われたナビスコカップの大宮アルディージャ戦で、なかなか波に乗れず浮上するきっかけにしたいこの試合で、キャプテンマークを付けたのは平川忠亮選手であった。試合後、平川選手は「キャプテンマークの責任はある。でも、それによってプレーは変わらない。審判とコイントスして、ゲームが始まったらキャプテンマークをつけていることすら覚えていない」と話した。キャプテンマークを付けているからといって、張り切る事もないし、自然体のままで、チームが勝利する為にひたすら試合に挑む平川選手の姿があった。
後半26分選手交代によって平川選手がピッチを後にする時、ほんの一瞬、間があって、平川選手は柏木陽介選手に近づき、「頼むぞ」と一言、声をかけて、柏木選手の左腕にキャプテンマークを巻き付けた。平川選手は柏木選手にキャプテンマークを託した事について「なんとなく・・・。アップもそう、前半も後半もプレー見て、陽介中心に攻守に渡って動いていた。声も出ていたし、イメージかなぁ?若いけど、経験もあって信頼も出来る。(永田)充も考えたけど、なんとなく陽介だった」と教えてくれた。柏木選手にとっては、この試合がレッズに移籍してから初めてのキャプテンマークとなった。奇しくも、9月11日モンテディオ戦の敗戦後に柏木選手は「一人々の運動量を上げて行かないと・・・。届かないかもしれないけど、とにかく声を出して、ひとりひとりが状況判断する。闘う気持ち、球際で勝つ!それだけでチームは良い方向に行く」と話していた。それを、アルディージャ戦でしっかりと実行していた姿を同じピッチに立っていた平川選手は感じていたのだ。だから、柏木選手にキャプテンマークを託す事になったのだと思う。
普段からキャプテンマークを付けて試合に挑む鈴木啓太選手は「付けていても、付けていなくても気持ちは一緒。誰かに頼るのは良くない。誰かに負担がかかるのも良くない。良いゲームの時は全員がキャプテンシーを持っている。それが、強いチームだ。キャプテンマークの重みはある。大きな意味もあるけど、だけど、マークなだけで、大した問題じゃない。それより、もっと大事なものがある。勝つために、各々が持たないといけない責任感だ」と強い意志を感じる口調で話してくれた。
正直、キャプテンマークは試合中の精神的柱になると思っていた。しかし、各々が強い気持ちを持っていれば必要ない。他人任せのプレーでは、勝利を手にする事は出来ない。チーム全員が一丸となって、声を掛け合い動き、勝利のために尽くす。責任感を持って選手達はピッチの中で闘う。
Photo by (C) Shimizu Kazuyoshi