浦和フットボール通信

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【This WEEK】週刊フットボールトークVol.67(12/16)

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:今週末に天皇杯・愛媛戦を控えていますが、リーグ戦が終わり、来季に向けた話がメディアを賑わしています。レッズはここ数週間、監督人事について話題になっていました。岡田武史(元日本代表監督)への交渉失敗。その後、西野朗(元ガンバ大阪監督)にも交渉を行ったものの断られてしまい、昨日、前サンフレッチェ広島監督のミハイロ・ペトロヴィッチが電撃的に監督就任発表をされたところです。今回の監督人事の流れを見てもレッズのビジョンが全く見えてこないですし“新監督の下、新体制が出来ますので応援よろしく”と言われても納得出来る人が少ない状況には変わらないのではないかと思います。

豊田:上がってくる監督候補の顔ぶれ、決定までのプロセス、加えて監督未定の段階から漏れ聞こえてくる補強情報……こういった話題の賑わいは、レッズの注目率が高いからなどとは考えないほうが良いでしょう(苦笑)。ちょうど西野監督の可能性が消滅した翌日に都内でジャーナリストの木村元彦さん(『オシムの言葉』著者)とお会いしたのですが、「本当に話題には事欠かないクラブと思います」との慰労?を頂いてしまった。ただ心情的には私たちのシンパである彼が、別れ際に「西野朗さんと福田正博さんだけは、浦和は大切な切り札として取っておくべきだよね」と真顔で言っておられたことが印象的でした。

椛沢:木村さんのおっしゃる通り、西野さん、福田さんは浦和レッズにとっての最終兵器かもしれないですね。彼らで成功を収められないと代償も大きくなる。その意味では彼らが指揮を執る際にはしっかりとした体制が作られていなければならないと思います。その意味においても岡田さん、西野さんに断られたということをクラブは重く考えた方が良いと思います。なぜ彼らが断りを入れたのか。西野さんは、最後は地元浦和に力を還元したいと考えていた人。その人が最終的に監督オファーを受けなかったということは何なのか。監督をしっかりサポートする体制を提示出来なかったからではないかなど、しっかりと検証を自らが出来なければ、ミハイロ・ペトロヴィッチの下でのチーム作りも一筋縄ではいかないものになってしまうと思います。

豊田:過去に岡田さんのインタビューを担当した機会があったため、今回のニュースに際しても読者の方から当時からの経緯と解説を求めるメールをもらいました。レッズは変われたと思いますか、と……。非常に残念なのですが、今季の動きを見る限りは応えようもない訳です。個人的な印象だけで言わせてもらえば、「西野就任ならず」の報を聞いたときは「ああ、URAWAがレッズと距離を置いた節目だな」と感じた。それが実感です。自分が観てきたサッカー史において最も成功した地元出身の指導者が、初めてまともなオファーの席に着きながらもレッズの要請は受け切れなかったわけですから。

椛沢:監督人事でごたごたしている間にも練習場で、原口が岡本と練習後にふざけ合っている中でケンカになり、岡本に全治3週間の脱臼をさせてしまう問題が起きてしまいました。原口についてはシーズン中も敗戦後のサポーターの前での態度など、気になることが多かったわけですから、彼の態度について誰も注意も指摘も出来なかったことが、最後に最悪な形で表れてしまったのではないかと思います。これは原口だけの問題ではなくプロとしての自覚をどのようにもたせる環境を作るのかという問題だと思われます。この根本的な問題を改善出来なければ、変わることはないでしょう。

豊田:折しもレイソルの活躍とバルセロナの妙技にフットボールファンが沸いている最中に、こういうニュースは寂しいですね。ただレッズサポーターであるかぎり、どんなクラブ状況の時にこういう出来事が起こったかを、確かに眼に収めて記憶しておく必要があると思います。必然性が感じられる部分が多々あると思うので。

椛沢:シーズンが終わっても明るい話題がほとんどない状況。天皇杯はチームに意地を見せてもらって元旦国立まで連れて行ってもらいたいと思います。今週末の愛媛戦。天皇杯で何度も苦しめられた相手。相手をしっかりリスペクトして戦えなければ、何が起こるか分かりません。しっかりとした戦いを熊谷で見せてもらいたいと思います。

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