浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトークVol.84(4/19)

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末、レッズはヴィッセル神戸と対戦して2-0で勝利。リーグ戦では開幕戦以降は5戦負けなしとなりました。新体制の下スタートしたチームとしては好スタートが切れた印象です。

豊田:昨年までの情況を考え合わせれば、ミシャレッズはこれ以上ない出足を果たしたと思います。それにしても、知り合いの関係者や来場したサポーターたちはもちろん屋台村の店員さんも嘆いていましたが天気に恵まれないね。浦和のホーム戦は冷たい雨の土曜日ばかり(苦笑)。もっと多くの観客に新しいレッズの試合ぶりを生で観戦して欲しいところなのですが。

椛沢:神戸戦の前半はお互いにバランスを取って、動きがほとんどない、焦れそうになる展開でしたが、後半に入り、ゴールを求めるサポーターに押されて、CKからチャンスを何度か作り出し、槙野が潰れたあとに、阿部が押し込み先制点を決めました。昨年ほとんど見ることの出来なかったCKからの得点力は、槙野、阿部の加入が大きいですね。元々キッカーはいたわけですから、中でターゲットになれる選手が二枚増えたことで得点の匂いがしてきました。追加点もリスタートから、マルシオ・リシャルデスが見事なFKを直接決めて2-0として勝負を決めました。マルシオはリスタートからの得点力を買われての補強でしたから、2シーズン越しでようやく彼らしい能力を見せてくれるようになりました。

豊田:前半は確かに慎重なすべり出しでした。開始から撃ち合いモードに入った鹿島戦とあまりに違う動きだっただけに、前半終了時には「今日は覇気と動き出しが少ないよな」等の声もスタンドからは漏れていた。でもまあ、私は現場取材をしているわけではないので全体合意がどこまでできているのかは知りませんけど、ああいう展開を見ているとミシャの潜在的な「試合運びのコントロール」も生きてきているのでは?と思います。セットプレーからの先取点と追加点は本当に意味が大きい。あれがあれば、競った展開の中でもイレブンは我慢してプレーする強さが身に付きますから。昨年は勝負どころで計算できる得点パターンがほとんどなくて先取点を取られればもちろんのこと、均衡状態が続くだけでネガティブな雰囲気に呑まれる気配がありましたから。それにしてもマルシオの右足インフロントからの一撃、入団以来最高のフリーキックだったのでは? 凄いスピードでサイドネットの収めるコントロールショットでした。

椛沢:これらリスタートからの得点力アップが勝ち点を積上げられている要因であること
は間違いないです。これに加えて如何に相手を崩して点を奪っていくかという術を身につけて行けるかが、これからの課題ではないでしょうか。

豊田:その意味では、阿部に先取点が決められた神戸が前に出始めた時間帯に見せた波状攻撃。マルシオと柏木の際どいシュートが連続して敵ゴールを襲う場面などがありましたが、共有された意識が感じられました。ボール奪取を狙う位置とタイミングが、中盤の駒までを含めて分かり合えて来たような……いずれにしてもいまのレッズには久々に相手の出方に応じて対応パターンを考える余裕ができ始めていると思います。

椛沢:ミッドウィークにはナビスコカップ・セレッソ大阪戦でした。こちらは、試合に対してどう挑むかということがボヤけてしまった感があったように思えます。好調なチームを支えた両サイドの平川、梅崎を温存。阿部、柏木も途中から出場をさせるなど、リーグを考えたターンオーバーの選手起用により、セレッソとちょっとした差が出て所もあるかと思います。どんな試合であろうと、ホームで4失点の敗戦は頂けません。チャンスを貰った選手達は猛省しなければいけない。チームとしても、これをしなければ一気に崩れてしまうという問題点などを再認識する試合になったのではないでしょうか。

豊田:録画映像の観戦のみで、原口の突破から矢島の得点という場面に無邪気に喜んでいた私としては反論できない編集長の指摘ですね。参戦組にも話を聞いたのですが、レギュラークラスと比較すると控えメンバーにはまだまだ看過できないミスが見られるようです。先週もお話しましたが、チームの真価が問われるのはセカンドチョイスの成果が露わとなってくる夏場。ここでサブメンバーにまで強い結束の意識やハングリーな向上心が醸成できないようであれば、問題部分は監督であるミシャの責務ばかりではないことは明らかです。ベンチやクラブ全体、そして客席も、まだまだ危機的状況を抜け出したわけではない「浦和レッズの現在位置」を冷静に把握してサポートを進めて行きましょう。

椛沢:VIPインタビューでは、『争うは本意ならねど』の著者・木村元彦さんに登場頂きました。

豊田:当初はサポーター向けに旧ユーゴのフットボール環境をつぶさに見てきた木村さんにミシャの現状評価や、同じく名将イビチャ・オシムの門下生であるドラガン・ストイコヴィッチ監督(名古屋)やランコ・ポポヴィッチ監督(FC東京)との戦術比較をメインに置く予定だったのですが、テープ起しの段階で編集長と協議し、我那覇選手問題に多くを割くべきとの結論に至りました。今回はその前編です。ホーム浦和の「フットボールの総合力」を体感した木村さんの証言に注目いただきたいと思います。

椛沢:そして、次のリーグ戦はさいたまダービーです。昨年は1分1敗という恥ずかしい成績でした。今季はなんとしても2勝してこの街の誇りを守るべく必死に勝利を求めていきましょう。

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