河合貴子のレッズ魂ここにあり!「スーパーゴールの影に~宇賀神友弥選手」(5/19)
J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
★「レッズ魂ここにあり!」のTwitterハッシュタグが出来ました!#redsdashi
ご意見、ご感想は、Twitterに#redsdashi を入れてつぶやいてください。河合貴子さんも登場予定です。
ナビスコ杯川崎戦で見事な2ゴールを決めた宇賀神選手。スーパーゴールの影にあったこととは?
5月16日ナビスコ杯川崎戦でチームを救う2ゴールを決めた宇賀神友弥選手は、少し照れくさそうにしながら試合後のミックスゾーン(報道陣取材エリア)に一番最後に姿を見せた。私の姿を見つけなり、宇賀神選手は「今日、俺・・・何も答えないですよ!ミックスゾーン無しでお願いします。苦手なんですよ」と懇願して来たが、清々しい表情で話し始めた。「自分がプロになって、勝利に結びついたゴールは、今日が初めてなんです。1点目は(57分 ペナルティエリア内左からのシュート)得意な形で完璧でした。2点目は(82分バイタルエリア右からアーリークロスシュート)狙ったって言いたいですが・・・。周りからも狙ったって言えって言われましたが・・・。ミスです。恥ずかしいです。トラップミスして、中に二人いたので、クロスを上げるのが精一杯でした。あの苦しい展開の中で走った事を評価して欲しい。」と正直に胸の内を話してくれた。ミスを素直に認める所などは、宇賀神選手の飾らない人柄だが、この日、チームに貢献した手応えを実感した表情にも嘘はなかった。
リーグ戦ではベンチ入りするものの、中々チャンスをものに出来ない日々が続いていた宇賀神選手にとって、この試合に懸ける思いは大きかった。試合前日、「ここでアピールしたい気持ちが大きい。強い気持ちとインテリジェンスなプレーで落ち着いて、自信を持ってやりたい。新潟戦では急な出場(平川選手が打撲のため、前半14分出場)だったが、一番自分に足りないのは試合勘だと感じた」と話していた。実は、新潟戦の前に行われた5月6日の磐田戦では、軽い肉離れを起した梅崎選手の代わりにスタメン入りを狙っていたのだ。前日練習では、本人はもちろん、取材陣も宇賀神選手がスタメン入りするだろうと確信をしていたのだ。ところが、ミーシャ監督は、磐田のストロングポイントの駒野選手の対応を考えて、悩み抜いた末に野田選手を起用する事にしたのだ。「なんで俺じゃないんだ?!」言葉にはしないが、憮然とした表情から宇賀神選手の気持ちが読みとれた。
磐田戦の翌日に行われた水戸との練習試合後、大槻コーチと山田暢久選手とピッチに座り込み宇賀神選手は3人で色々と話し込んでいた。話し合いの中で、宇賀神選手が前に張っている場合の裏のスペースに付いてなど具体的な話しが出たそうだ。宇賀神選手は「磐田戦でスタメン取れず、気持が落ちたけど・・・。俺ってまだまだなんですよね」と悔しそうに話しながら次のステップアップに向けて気持ちを切り替えていた。「チームとして良いサッカーが出来てきて、みんなが闘ってファイトしている。チームが勝つのは嬉しいが、ピッチに立てない虚しさ・・・。嬉しいけど素直に喜べない自分がいた」と話す宇賀神選手だから、久しぶりに掴んだスタメンの川崎戦ではチームの内容と結果、そして自分自身のパフォーマンスにも拘りを持ち挑んだのであった。
自分自身の不甲斐なさを感じた気持ちがあったから、あのスーパーゴールが生まれたのだと思う。右でも左でもゴールが生まれ、両サイド出来る武器を持っている事をしっかりとアピールする事が出来た。また、逆に常にスタメンで試合に出場している梅崎司選手は「あれだけの宇賀のパフォーマンスを見せられたら、自分ももっとやらないといけない!」と身を引き締めるほど、チームメイトにポジション争いのプレッシャーを与える事になった。
あのスーパーゴールの影には、ピッチに立てない虚しさで潰されそうになりながらも、自らを奮い立たせ、前向きに練習から取り組み、コーチや先輩の話に耳を傾け、向上心を持って努力を重ねて来た宇賀神選手がいたのだ。川崎戦のゴールに満足する事無く、更なる飛躍を目指し宇賀神選手の挑戦は続く。