浦和フットボール通信

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「 レッズ2012月刊ライブディスカッション 」Vol.10 2013シーズン始動!

レッズ密着取材を続ける河合貴子氏に、本誌・椛沢編集長が浦和レッズの現状や選手達の思いを毎月訊く「レッズ2013月刊ライブディスカッション」。今月の19日よりトップチームが始動して、現在は宮崎での1次キャンプを行っている浦和レッズ。新加入選手の表情などをまずはお伝えする。(浦和フットボール通信編集部)

近年稀に見る盛り上がりをみせた新加入選手記者会見。でもビックネームも欲しい……。

椛沢:レッズもいよいよ始動をして、宮崎キャンプを行っています。始動前には、新加入会見も行われて、ここ数年来ではメディアの数も多く盛り上がりを感じる会見となりました。

河合:それは良い選手を4人獲得したからでしょうね。優勝チームのサンフレッチェ広島から森脇良太。Jリーグ2位のベガルタ仙台から関口訓充、天皇杯優勝の柏レイソルから那須大亮。ナビスコ優勝の鹿島アントラーズから興梠慎三と。はっきり言って、うちが成し得なかったチームから即戦力を獲っているわけですからね(笑)。良い補強だと思えるのは実際にリーグが始まって、補強した選手がしっかりした仕事をした時に言えることだと思いますけど、今の段階でも注目度が高い補強だったと思う。けどラウールがね……。FC東京にいくんだったら、うちが欲しい。個人的には、赤いユニフォームを着てレッズの一員として戦うラウールがみたい!(笑)

椛沢:その意味では、外国人選手の枠を1つ残しながら、ストライカーを獲得はしませんでした。興梠選手を補強したということはありますが、昨年の決定力不足を考えると一番の補強すべき所が今ひとつ足りないという印象も受けます。たかねえは、天皇杯決勝戦を文化放送のベンチレポーターとして、両チーム取材をしたということですが、その中には那須選手もいました。

河合:はい!那須選手は、サイドバックで、あの上下運動を繰り返してすごかったですよ。「レッズでは真ん中を中心にやりたい」と言っていたけれども、「監督が決めるのであればどこでもやる」とも言っていました。彼はセンターバックも3バックの真ん中もボランチもできて、サイドもできるユーティリティな選手。でもうちには不動のサイドがいますからね!平川。

椛沢:ミシャ監督も戦力が整うのであればターンオーバーするかもしれないと発言をしていました。アジアとリーグを両輪させるのは、特にベテランの選手は苦しいかもしれないですね。

河合:阿部ちゃんも啓太もそうですしね。そう言っても「ターンオーバーのための単なる交代はしない。交代のための交代は意味がない」とミシャ監督は、はっきり言っていたし、出てきた選手が活躍するという確信があれば交代すると言っていました。

新加入選手の横顔について

椛沢:新加入選手の印象を一人ずつ聞きたいと思いますが。まずは興梠選手からお願いします。阿部敏之、室井市衛が鹿島から移籍してきたことはありますが、彼は元々浦和出身の選手でしたから、戻ってきたという印象が強い。その意味では、史上始めて鹿島から浦和に来た選手とも言えるのかもしれません。

河合:正直言って、興梠選手には良いイメージがなかった。鹿島の興梠は、小憎たらしくって嫌な時に決める選手で、レッズからしたら目の上のたんこぶのような選手だった。でも実際にあったらすごく素朴で、すごく純粋で、良い奴だった(笑)。ガラっと印象が変わった。彼は分かっているよね。練習初日に、グラウンドに出てきた時にレッズサポーターが500人くらい見に来ていて、そのサポーターに拍手で出迎えられて、興梠選手頑張ってくださいという声もかけられた。それがすごく嬉しかったようで、帰れ!とかいらない!と言われるんじゃないかと思っていたのに、暖かい声をかけてもらって嬉しかったと。「早くレッズサポーターの皆さんにピッチの中で、認められるようになりたい」と言っていました。ピッチの中でやらなければ、レッズの一員になったと心から言えないと思っているし感じているんだろうなと思いましたね。

椛沢:記者会見でも自分はFWなので、点を決めることがサポーターから見られているだろうから、点を決めて認められたいという発言もしていました。

河合:会見の後の取材で、得点力を期待されていると思うけれどもと、聞いたら、「ゴール前の判断で、自分よりフリーで走り込んできた選手がいて、自分よりも可能性がある選手がいるのであれば、状況判断をして、そこに僕はパスを出す」とも言っていたんですね。本当に分かっている選手だと思いました。

椛沢:ボールを受ける前のムービング。動き出しのレベルがすごく高いと評判も高いですね。

河合:私もそう思う。うまいよね。しっかりとレッズに馴染んで欲しい。

椛沢:関口選手は、本人が希望をして“11番”をつけての入団になりました。

河合:高校の先輩の田中達也選手がつけていた番号で、本人に断りの連絡を入れていなかったので後日伝えたら「関口らしく頑張れ」と言われて、その先輩に恥じないプレーをしたいと言っていました。

椛沢:偉大な番号であることを分かっていて、敢えて自分にプレッシャーをかける意味でつけたとも言っていましたね。

河合:プレッシャーはかかるでしょうね。まだ関口の印象はおとなしい。練習二日目で別メニューになってしまったからびっくりした。まだ無理する必要もない。今無理をしても何もないからね。やると聞いていたけれども、予想以上にきつかったと言っていましたね。

椛沢:那須はどうでしょうか?記者会見で、一番しっかりしていて、発言を聞いていても好印象でしたね。「プレーうんぬんというよりは気持ちを見せたい」と言っていたのはレッズサポーターが好きなタイプの選手ではないかなと思いました。

河合:やはり何チームも渡り歩いてきた、苦労人だけあるよね。天皇杯の準決勝でマリノスとレイソルが対戦をした時に、取材に行ったのですが、那須は右サイドバックで出場をしていて、ボールがラインを割った時に、一番そばにいた那須が、微妙な判定に対して、あの国立で、記者席に聞こえるくらいに「ちゃんと見てよ!真剣にやっているんだよ!」と吠えた。行為としては異議申し立てなので、いけないことなのだけども、記者席に届くくらいの気持ちが入っていると思った。その後、笑って頼むよとフォローをしている姿もあったのだけど、すごい選手だと思った。

椛沢:他チームでは、闘将と言われていたようですからね。

河合:そういうイメージはなかったのだけど、本当にそう思う。天皇杯でも「最後は気持ちだよ」と言っていました。赤いユニフォームを着ているイメージが全然ないのだけど、着てみてどうでしたかと聞いたら、「鹿実出身なので、初心に帰った気持ちになっている」と答えてくれました。那須選手は面白いと思う。ミシャ監督の下、那須選手のポテンシャルがある中で、どのくらい伸びるんだろうかという楽しみがある。

椛沢:那須は永田充のポジションになるのではないですかね。

河合:永田も簡単に譲らないでしょう。昨年も開幕にポジションを奪われてベンチスターになり、自分のプロ選手になって怪我以外で初めて開幕のスタメンを外れたと奮起しましたから。

椛沢:森脇選手は、会見でも独壇場になっていましたけど、自分でガンガン行くというよりはいじられるタイプなんじゃないかという印象も受けました。

河合:会見で必死に話をしていた、雪の日の出来事は本当に嬉しかったんだろうと思う。その嬉しい思いを伝えたかったんだろうね。彼は素直なんだと思う。興梠選手とは違った純粋さを持っているなというのを感じた。メディアに対してもすごく丁寧ですよ。練習の初日に、槙野に「まずサポーターに挨拶しろ!次はメディアだ!」と怒鳴られて、挨拶をしたら、サポーターからはワッキー!という声がかかった(笑)。そこから練習の輪に加わっていました。選手たちによると槙野が二人いるみたいで嫌だと。一人で充分だと冗談っぽく言っていました(笑)槙野選手が言うにはすべて自分の真似をしていると。パフォーマンスも広島時代にやっていたものを自分が提案したかのように広島でやっていたと。

椛沢:槙野はある意味スター性のある選手ですけども、森脇は実は地味なタイプの選手なのではないかという気もしています。

河合:経歴をみてもすごく苦労をしていて、愛媛に修行に出されて頑張ってきた選手なので、私も無理して背伸びをしているんじゃないかと穿った見方はしていて、槙野選手の真似ではない森脇選手がみたい。背番号46番も自分の誕生日が4月6日だというのと、ヨロシクという意味を込めてつけた。目立ちたいんだと思う(笑)自分の存在感を認めてもらいたいんだと思う。でも、それはピッチで示すべきだ。槙野選手がレッズの一員という感じになかなかなっていかなかったように、きっと苦しむんじゃないかな……。

椛沢:広島と浦和での感覚の違いというか、ギャップはあるかもしれないですね。

河合:どちらかというと興梠選手の方が違和感なく入っていけるんじゃないかなと感じる。

椛沢:発言を聞いていても、彼は浦和の空気感を察しているような気がしますね。

河合:浦和ってこういうイメージというイメージ感を正しく持っているような感じがする。

椛沢:昨年の槙野は、そんな浦和を変えてやろうという思いもあったから、軋轢というか何を言っているんだという反応があったのも事実。でも森脇選手は槙野選手が開拓した道が出来ているという意味では、そんなには苦労しないのではないかとも思っています。

河合:浦和という場所はピッチで表してなんぼの世界だと思うから、そこだよね。

椛沢:そういう意味ではすごくシンプルなので、悩むことはない。興梠選手は言っていましたけど、「ピッチで見せるしかない」と、まさにそこだと思いますね。

河合:本当の赤になったと言えるように早くしたいなと思いますね。

椛沢:阪野選手はレッズユースで高円宮杯優勝をしたメンバーの一人で、明治大学を経て復帰となりました。

河合:阪野選手は大人しい。自分の役割も感じているだろうし。焦ってもしょうがないので、一日一日を大事にしてやっていきたいと言っていた。大事に育てていきたい存在だとは思う。どこで化けるかは分からないと思っています。

椛沢:高円宮杯優勝メンバーと言えば、永田拓也も草津からレンタルバックで帰ってきました。

河合:怖いもの知らずのやんちゃ坊主が帰ってきたという感じですごく嬉しい!草津での試合にでた経験をこの体制の中で、どう表現してくれるのか。あのやんちゃ坊主が、成長した証を見せてくれるだろうなという期待感がすごくある。彼は良い意味ですごくやんちゃなんです(笑)。

チームは明るい雰囲気で始動。

椛沢:ミシャ監督も腰が癒えて、杖にもそんなに頼らずに歩けるようになって帰ってきたそうですね。

河合:2回手術をして、ずいぶんと腰の状態も良くなったみたいです。選手が練習をしている時は自分も歩行練習をしている。監督があれだけリハビリをしている姿をみたら、選手も素走りの練習でも頑張らなければいけないと思うはず。素走りの練習は苦しいので、あと何分と思わずに楽しいことを思い浮かべれば脳がごまかされて苦しくなくなるから、楽しく走れとランニングの前にミシャ監督は、アドバイスをしていました。全てにおいて気持ちだね。

椛沢:チームも始動をしましたが、雰囲気はどうですか?

河合:すごく明るくて良い雰囲気だと思いますよ。ただマルシオが寂しそう(笑)。ブラジル人は独りになってしまいましたからね。外国人選手の補強はこれからでしょうね。

椛沢:新戦力も入ってきて、チーム内での競争も激しくなりそうです。

河合:秀仁も勝負の年だと言っている。あと直輝がいつ復帰してくるか。2チーム分くらいできる戦力になり、どこのポジションも争いが厳しくなる。今はとにかく走って、走って体力を充分つける。昨年もキャンプから帰ってきて選手から話を聞いたら本当にきつかったと言っていた。そのくらいの練習をやらないとあのサッカーは出来ない。去年の土台がある中で、どういった基礎工事を打ち込めるか。今年は、どこからでも点を獲れるようにならないといけない。梅が10点、興梠10点、元気10点、柏木10点、槙野5点、マルシオ10点……。

椛沢:そうなると総得点いくつになりますかね?(笑)。初戦がACLの広州戦なので、かなりレベルの高いチームといきなりやるのはハードルが高いような気もしています。その後、すぐに土曜日にリーグ開幕の広島戦がありますからね。

河合:私はもちろん勝って欲しいんだけども広州にボコボコに負けても、広島でしっかり勝てば良いと思っている。そのために、キャンプでは相当練習試合があるそうなので、組み合わせを色々と試すんだと思う。

椛沢:サポーター内でも相当期待は高くなっていますからね。スタートは大事になってくると思います。新シーズンに向けて、どんなチームが出来上がってくるのか楽しみに待ちたいと思います。

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