浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「祖父の言葉~李忠成選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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「忍耐と努力が99%で、1%が運」という祖父の言葉を胸に秘めながら闘う

1stステージと2ndステージの合間に、まことしやかに李忠成選手の移籍話が浮上した。今シーズンの補強に伴い、前線の選手のポジション争いは激しさを増した。その激しい波に飲み込まれるように、李選手の試合出場時間も昨シーズンと比べて減って行ってしまった。1stステージは、14試合出場を果たしたが、その中でスタメン出場は5試合でフル出場をした試合は、1ゴール決めた5月16日のFC東京戦だけであった。途中交代も多くなり、昨シーズンの前半戦と比べてプレー時間も短くなってしまった。

李選手の本来持っているスキルを考えると、日本国内だけでなく韓国やオーストラリアなど他のクラブが興味を示すのは、当然のことである。この合間の期間にJリーグのクラブでは、1stステージの課題を補うように選手補強が行なわれた。また、より良い条件提示やスキルアップを目指し川崎のレナト選手やFC東京の武藤嘉紀選手などが海外へと移籍して行った。浦和でも小島秀人選手が、試合出場機会を求めて愛媛FCへと移籍した。李選手に移籍話しが浮上しても、何の違和感もない。プロならば当然の話だと思った。

しかし、移籍話が浮上しても李選手は、素知らぬ顔で2ndステージに向けてただひたすらにボールを追いかけ練習に取り組んでいたのだ。その姿は「俺は、浦和で結果を出す!」と思わせる鬼気迫るものであった。ゴールを狙うだけでなく、前線から激しくプレスを掛け、攻守の切り替えを早くし、オフザボールの動きに切れがあった。ハーフコートのミニゲームでも思わず対峙したDF陣が釣られしまうほどだ。

李選手は「自分はFWなので、やっぱりゴールで結果をだしたい」と移籍当初からずっと言っていた。練習中からもギラギラしていて、まるで尖ったナイフのようであった。

それが、今シーズンの1stステージ終盤ぐらいから「点を取るだけがFWの仕事じゃない。相手DFを釣って、おとりになる黒子も必要だ」と話すようになったのだ。実際、1stステージで李選手がゴール前でおとりになり、関根貴大選手がゴールを決めたシーンもあった。その黒子の動きの鋭さが増して来た。

李選手は「誰かが動かなきゃ、おいしいところは生まれない」と言った。時にFWは、ゴールと言う結果が欲しいためにエゴイストになりがちである。浦和のために、チームが勝つために、何が必要なのかを李選手は分かっているのだ。

そして、李選手は「ミシャと話しをした時に、ミシャが『1stステージは1ゴールしかしていないが、評価している』って言ってくれて嬉しかった。見てる人は、見てるんだと思った。もっとパワーを上げないといけない」と身を引き締めながらも嬉しそうに話したのだ。

暑い夏の到来と共に始まった2ndステージで、浦和は開幕戦の松本戦で勝利を収めたものの、決定機を活かせずに苦戦を強いられることとなってしまった。今、浦和にとって何が何でも欲しいものは、先制点と追加点である。東アジア選手権のために中断された期間に、日本代表の4選手が欠けているが、チームの立て直しは必須である。

猛暑日が続く中で、集中力が欠き、頭が真っ白になりがちであるが、李選手の動きはピッチの中で輝いていた。「1年通して、1番暑い。昨年よりも日本の夏に順応している」と夏バテせずにコンディションは良いようだ。8月5日に行われた国士舘大学との練習試合は、2ゴール1アシストと結果を残した。2ゴールとも橋本和選手からのクロスであったが、ファーサイドに流れてドフリーでゴールに叩き込んだゴールと斜めにニアサイドに走り込みヘディングシュートでゴールを決めた。

「自分が飛び込めばチャンスになるし、あのような得点が自分らしい」と嬉しそうに笑っていた。李選手は、黒子に徹するだけでなく、チームにとって最も必要なことを判断して動くことが出来るのだ。2ndステージの建て直し、李選手は意欲的に取り組んでいた。

「正直、今は歯痒いよ。でも忍耐と努力が99%で、1%が運だっておじいちゃんが言っていたんだ。僕もそう思う。今のパフォーマンスならば、代表に行く価値ないし、プレミアリーグで活躍しないとW杯は無いと思っていた。浦和で活躍しないとね」と李選手は言葉を噛みしめるように話した。

そして「自分が試合に出られるチャンスは来る!焦ってないよ」と笑顔を見せた。その笑顔には「99%の忍耐と努力」の裏付けがあったのだ。李選手の父方の祖父の言葉を胸に刻み、やがて訪れるチャンスを物にするために、ただひたすら惜しみない努力をし続けているのだ。

「99%の忍耐と努力」が必ず報われる時はやって来る。黒子に徹してなのか・・・、尖ったナイフのようにゴールに襲いかかるのか・・・分からないが、とにかく李選手が、浦和で結果を出す日は近い。

Q. 石原選手が怪我をした時は、全治6カ月と言われていましたが、前十字を損傷した場合に、復帰にはどのぐらいかかるのでしょうか?

A. 本当に6カ月で復帰出来る人もいます。ただ、人によって痛みに対しての強さが違います。痛みに弱い人は、どうでしても慎重になりリハビリが遅れてしまうことがあります。予定通りにリハビリが上手くいけば、6カ月から8カ月でしょう。女性は、筋力の回復が遅い傾向があり、男性よりも復帰に時間が掛かります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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