浦和フットボール通信

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「スポーツは日本の元気玉」 さいたま市のスポーツ都市としての可能性を探る。 池田純(さいたまスポーツコミッション会長)ロングインタビュー全文記事

4 November 2018
6th Saitama Criterium
VALVERDE Alejandro (ESP) Movistar
ARASHIRO Yukiya (JPN) Bahrain – Merida
THOMAS Geraint (GBR) Sky
Photo : Yuzuru SUNADA

「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」を有効活用して街を盛り上げる

UF:今後さいたまスポーツコミッションとして、どのようにスポーツで街を盛り上げていくことが可能だと考えますか。

池田:「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」を今年から我々が主催をしていますが、今年は移行の年。来年から大きく変えられるかどうかが勝負。すでに6年、さいたま市が運営してきましたし、公金も投入してきたと聞いています。このイベント単体で思考を完了させてはもったいなくて仕方がない。私はスポーツビジネスのプロですが、この一つの自転車のトップレースだけでは収益性には限界がある。もっともっと、このトップレースを有効活用して、行政と連携し、行政の資源を投下してもらって自転車文化と街づくりを推し進め、自転車事業全体を拡大し、収益性ある事業をも開発し、「自転車事業全体」としての収益性と健全経営化につなげていかないことには、さいたま市からスポーツコミッションに移管した効果の創出がどうにもならないと、実際に中身を見て知って、感じています。

さいたま市が、民間思考で、本当に「自転車先進都市」にできるか否か。スポーツ先進都市の前に、スポーツの中の一つの自転車を最大有効活用できるかどうか。さいたま市のそことがっちり連携して、さいたまスポーツコミッションが自転車領域の文化づくりと事業づくりの大きな領域を担わせてもらえるかどうか。今は「自転車文化」の三角形の頂点としてこのトップレースがあるだけのような感じなので、その三角形を、トップレース、それに伴うレースの拡大発展、草大会、子供や市民の遊べる自転車パークや輪行パークなどなど、365日の自転車文化づくりと街づくりで、埋めていかないといけない。

例えば、さいたま新都心の街中にBMXやスケボーで遊べるパークを作り、それを運営していくとか、新都心の周りを土日に道路封鎖をして、子供達がぐるぐる回れるような場所を作り、そのネーミングライツを販売するとか「接点」を多様化させていくことで「文化」が広まっていく。さいたまで生活する老若男女の多くの方々が何がしかの形で自転車に馴染んでいけば、そのうちに河川敷などで自転車のレースやBMXの大会なども多様に展開されて、「さいたまクリテリウム」開催前にさいたまのキッズのための自転車レースを開催するなどして、「さいたまの自転車文化」全体に発展させていけば、そこにスポンサードを拡大させていくことも可能になっていくはずです。

現状は1日だけ大会を運営するだけなので、ほぼ完全に限定されたマーケットでのスポンサー頼みの状況にあります。スポーツは4種の神器が必要だと言われていて「スポンサー収入」、「放映権」、「グッズ・飲食収入」、「チケット収入」の4つと言われています。スポンサー収入だけに頼っているという構造は、いつか必ず経営が成り立たなくなってしまいます。スポンサー収入はスポンサーの状況で変わるもので、自分たちでコントロールできることには限界があるからです。自分たちでコントロールできる事業や収益領域を拡大させていくことが大切なのが、スポーツビジネスの根幹です。さらには、自転車文化や街づくりをとおして生活者の自転車との接点を拡大し、他の収入を増やすためにも365日自転車で遊べるような場所や文化を作っていけばより一層スポンサー収入も増えますし、グッズなども多様に作れるようになって収益も上がってくると思います。スポーツ先進都市の第一歩としての自転車の都市づくりを成功させるために、さいたま市が、私を含めたさいたまスポーツコミッションの力を最大活用できるかどうかにかかっています。

UF:様々なスポーツを楽しめる空間があると、「見る」だけではなく「やる」ということでの盛り上がりも出来てきますね。

池田:そういう意味でも、まだまだ可能性の秘めた、さいたま新都心も発展途上の街なのでしょうね。まだ街が完成形に近いとは世の中にもうつらない、可能性を多様に秘めた街なのでしょうね。買い物や映画だけでなく、様々なエンターテイメントを含めて、多様な領域がこの街で完結する、すごく楽しい街という感じにもっともっと発展の余地がある。その大きな一歩として、もう少しスポーツ(スポーツが楽しめる場所であれば、他のエンターテイメントも楽しめる場所に必然的になる)を楽しめる空間や雰囲気が新都心に生まれ始めても良いと思います。例えばバスケットゴールが点在していて、そこで遊べるような場所ができれば、ショッピングをしているお母さんに対して、待っているお父さんと子供が遊べたりする。プロバスケットの文化にまで三角形が埋まっていく可能性も秘めています。オリンピックを契機にBMXやスケボーも非常に人気になってきているので、さいたまの人たちが子供の頃から気軽に遊べるようなパークがあっても良いでしょう。

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムを三角形の頂点に、自転車やアーバンスポーツの三角形もうまっていく可能性も秘めています。さらにはさいたまですから当然そこにフットサルやサッカーがあっても良いと思います。4面全部が囲ってあって、どこに蹴ってもボールが跳ね返ってくる、それを利用して遊べるような、思いっきりサッカーボールを蹴れる場所が新都心にあったらみんな子どもはボールを蹴りたがるのではないでしょうか。人口も増えている街なので、色々なスポーツを子供の頃から慣れ親しんでいけるようになれば、みんな外で遊ぶようになるでしょうし、その中から色々な競技のオリンピック選手が出てくるかもしれない。まずはもっと気軽に遊べる場所がスポーツきっかけにできてくると「スポーツ都市づくり」には有効だと思います。

さいたまスポーツブランド都市化計画とは?

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